catch-img

労働基準法における休憩時間の原則や注意点とは?違反時の罰則についても解説

労働基準法では、労働者の健康を守るために休憩時間の確保が義務付けられています。
しかし、適切に運用されていないと、労働環境の悪化や法的な問題に発展する可能性があります。

この記事では、休憩時間の4つの原則や注意すべきポイント、そして違反した場合の罰則について詳しく解説します。

企業は法令を遵守しながら、労働者が適切な休憩を取得できる環境を整える必要があります。
適切な休憩の導入が、職場の生産性向上にもつながるでしょう。

【参考】より深く知るための『オススメ』コラム

👉「採用」時のバックグラウンドチェックとは 必要性とメリット・デメリットについて解説

👉反社チェック(コンプライアンスチェック)を無料で行う方法

👉雇用契約書は必要か?交付方法や内容、作成時のポイントについても解説

▼反社チェックツール「RISK EYES」の無料トライアルはこちら

無料トライアル

目次[非表示]

  1. 1.労働基準法における休憩時間の4原則
    1. 1.1.一斉付与の原則
    2. 1.2.途中付与の原則
    3. 1.3.自由利用の原則
    4. 1.4.就業規則への規定
  2. 2.労働時間に対して必要な休憩時間
    1. 2.1.労働時間とは
    2. 2.2.労働時間が6時間以下の場合は休憩不要
    3. 2.3.労働時間が6時間を超える場合は45分、8時間を超える場合は60分(1時間)の休憩が必要
  3. 3.休憩時間付与の対象となる人、ならない人
  4. 4.休憩時間に関する注意点
    1. 4.1.残業における休憩時間
    2. 4.2.電話当番や来客対応を命じるのはNG
    3. 4.3.タバコ休憩は休憩とできない可能性がある
    4. 4.4.仮眠時間は賃金計算に含める
    5. 4.5.休憩時間は分割付与も可能
  5. 5.労働基準法で定められた休憩時間に違反した場合の罰則
  6. 6.まとめ

▶とりあえず使ってみる!【無料で反社チェックツールを体験】

反社チェックツールRISK EYESサービスサイト

労働基準法における休憩時間の4原則

労働基準法における休憩時間の4原則

労働基準法では、労働者の健康と労働環境を守るために休憩時間の付与が義務付けられています。

その付与方法には4つの原則があり、企業はこれらを遵守する必要があります。

一斉付与の原則

休憩時間は、原則として同じ職場の労働者全員に対して一斉に付与されるべきものです。
これは、労働者が公平に休憩を取得できるようにするための措置です。

ただし、業種によっては例外が認められており、例えば運輸業や接客業などでは交代制で休憩を取ることが可能です。

途中付与の原則

休憩時間は、労働時間の途中で付与される必要があります。
始業直後や終業直前に休憩を与えることは認められていません。

これは、労働者が適切なタイミングで休息を取ることで、業務効率を維持し、疲労を軽減するための措置です。

関連記事:労務トラブルとは?発生時の対応手順や注意点、未然に防ぐ対策を解説

  労務トラブルとは?発生時の対応手順や注意点、未然に防ぐ対策を解説 労務トラブルは、企業や従業員にとって避けられない課題です。この記事では、労務トラブルの定義から発生時の対応手順、注意点、そして未然に防ぐための対策について詳しく解説します。 RISK EYES


自由利用の原則

休憩時間は、労働者が自由に利用できるものであり、業務の指示を受けることなく過ごせる時間である必要があります。

例えば、休憩時間中に電話対応や来客対応を命じることは違法とされます。

また、休憩時間中の外出を制限することも、原則として認められません。

就業規則への規定

休憩時間の付与方法や運用ルールは、企業の就業規則に明記しなければいけません。
規定があることで、労働者と企業の間で明確なルールが共有され、休憩時間の適正な運用が確保されます。

特に、休憩時間の分割付与や残業時の休憩の取り扱いについても、就業規則に明記することでトラブルを防ぐことができます。

関連記事:社内規程の種類と作り方、作成のポイントをわかりやすく解説

  社内規程の種類と作り方、作成のポイントをわかりやすく解説 社内規程は、企業運営を円滑に進めるための重要なルールです。適切な規程を整備することで、業務効率化やトラブル防止、従業員の働きやすさ向上が期待できます。この記事では、社内規程の種類や具体的な作り方、作成時のポイントをわかりやすく解説します。 RISK EYES


労働時間に対して必要な休憩時間

労働時間に対して必要な休憩時間

労働基準法における「労働時間」とは、労働者が使用者の指示のもとで業務に従事している時間を指します。

これは、単に会社に滞在している時間ではなく、指示を受けて働いている時間を意味します。

例えば、始業前の準備や終業後の業務整理が業務の一環とみなされる場合、それらも労働時間に含まれます。
一方で、昼休みや業務の合間の休憩時間は労働時間に含まれません。

労働基準法では、労働者が健康を維持しながら働けるよう、適切な休憩時間の確保が義務付けられています。

労働時間が6時間以下の場合、休憩は不要ですが、6時間を超えると最低45分、8時間を超えると60分の休憩を取る必要があります。

休憩は労働時間の途中で付与され、自由に利用できることが原則です。
企業は適切な管理を行い、労働環境の改善に努めることが求められます。

長時間労働を防ぎ、業務効率を向上させるためにも、休憩の重要性を理解し、正しく運用することが不可欠です。

関連記事:労働契約とは?基本原則やルール、よくあるトラブルや禁止事項をわかりやすく解説

  労働契約とは?基本原則やルール、よくあるトラブルや禁止事項をわかりやすく解説 労働契約は、労働者と使用者の間で締結される重要な契約であり、労働環境を規定するものです。この記事では、労働契約の基本原則や守るべきルール、よくあるトラブルやその対処法、さらに労働契約における禁止事項についてわかりやすく解説します。 RISK EYES


労働時間とは

労働時間とは、労働者が使用者の指示のもとで業務に従事している時間を指します。
これは、単に会社に滞在している時間ではなく、実際に業務に従事している時間を指します。

勤務時間とは異なり、休憩時間は労働時間に含まれません。

例えば、昼休みや業務の合間に与えられる休憩時間は労働時間には含まれず、賃金の支払い対象外となることが一般的です。

労働時間が6時間以下の場合は休憩不要

労働基準法では、労働時間が6時間以下の場合、休憩時間を付与する義務はありません。
これは、短時間労働の場合、業務の負担が比較的軽いため、休憩を必須とする必要がないと考えられているためです。

ただし、企業によっては労働者の健康維持や業務の効率向上を目的として、独自に休憩時間を設ける場合もあります。

特に、立ち仕事が多い職場や集中力を必要とする業務では、短時間でも適度に休憩を取ることで労働者の疲労を軽減し、業務の質を向上させることができます。

休憩時間の有無は法律上の最低基準であるため、企業の裁量で柔軟に運用することも可能です。

労働時間が6時間を超える場合は45分、8時間を超える場合は60分(1時間)の休憩が必要

労働時間が6時間を超える場合は最低45分、8時間を超える場合は最低60分の休憩時間を付与する必要があります。
これは、長時間労働による疲労を軽減し、労働者の健康を守るための措置です。

休憩時間は、労働時間の途中で付与される必要があり、始業直後や終業直前にまとめて与えることは認められていません。

企業は、業務の流れを考慮しながら適切なタイミングで休憩を設けることが求められます。

関連記事:人事と労務の役割と違いとは?業務内容や年間スケジュール、効率化の方法を解説

  人事と労務の役割と違いとは?業務内容や年間スケジュール、効率化の方法を解説 企業の成長と安定を支えるためには、人事と労務の役割を理解することが重要です。この記事では、人事と労務の役割や違い、具体的な業務内容、年間スケジュール、そして効率化の方法について詳しく解説します。 RISK EYES


休憩時間付与の対象となる人、ならない人

休憩時間付与の対象となる人、ならない人

労働基準法では、休憩時間の付与が義務付けられていますが、すべての労働者が対象となるわけではありません。
​​​​​​​

一般的な労働者には休憩時間の付与が必要ですが、特定の職種や立場の人は例外となる場合があります。

管理監督者は、経営者と一体的な立場にあるとみなされるため、労働時間や休憩時間の規定が適用されません。

例えば、企業の役員や部長職など、業務の裁量権を持つ人が該当します。
ただし、単に「管理職」という肩書があるだけでは管理監督者とは認められず、実際の職務内容や権限が判断基準となります。

また、農業や水産業などの業種に従事する労働者も、労働時間や休憩時間の規定が適用されない場合があります。
これは、業務が天候や自然条件に左右されるため、固定的な休憩時間の設定が難しいためです。

関連記事:雇用形態とは?保険の適用範囲や管理のポイントを解説

  雇用形態とは?保険の適用範囲や管理のポイントを解説 企業の働き方改革の推進や、ライフスタイルの多様化により、さまざまな雇用形態が生み出されています。この記事では、雇用形態とは何か、具体的な条件やそれぞれのメリット・デメリット、保険の適用範囲や雇用形態を管理する際のポイントについても解説します。 RISK EYES


休憩時間に関する注意点

休憩時間に関する注意点

労働基準法では、労働者の健康を守るために休憩時間の確保が義務付けられています。
しかし、休憩時間の運用にはいくつかの注意点があり、適切に管理しなければ労働環境の悪化や法的な問題につながる可能性があります。

ここでは、休憩時間に関する重要なポイントを解説します。

残業における休憩時間

労働時間が8時間を超える場合、最低でも1時間の休憩を取る必要があります。
これは通常の勤務時間内の休憩と合わせて計算されるため、残業によって労働時間が延びた場合でも、トータルで1時間の休憩を確保することが求められます。

残業中の休憩は基本的に自由に取得できるため、労働者が適切なタイミングで休憩を取れるようにすることが重要です。

電話当番や来客対応を命じるのはNG

休憩時間は、労働者が業務から完全に解放される時間であるため、電話当番や来客対応を命じることは認められていません。

休憩中に業務を強いられると、労働者の疲労回復が妨げられ、結果として生産性の低下や健康問題につながる可能性があります。

企業は、休憩時間中に業務を命じることがないよう、適切な管理を行う必要があります。

関連記事:2024年11月施行!フリーランス新法の具体的な内容とは?違反した場合の罰則や企業がとるべき対応を解説

  2024年11月施行!フリーランス新法の具体的な内容とは?違反した場合の罰則や企業がとるべき対応を解説 働き方の多様化が進んでいる現代において、フリーランスに業務を委託している事業者は少なくないでしょう。この記事では、フリーランス新法の具体的な内容のほか、違反した場合の罰則や企業がどういった取り組みを行えば良いのかということを解説します。 RISK EYES


タバコ休憩は休憩とできない可能性がある

タバコ休憩は、労働基準法上の休憩時間として認められない場合があります。
そのため、企業がどのように扱うかあらかじめ明確なルールを設けることが重要です。

休憩時間とは別にタバコ休憩を認める場合、業務時間の管理が複雑になりやすいため、公平性を考慮した制度設計が必要です。

従業員間での不公平感が生じないよう、就業規則に明確な基準を示しておくことが望ましいでしょう。

仮眠時間は賃金計算に含める

仮眠時間が業務の一環として認められる場合、労働時間として賃金計算に含める必要があります。

例えば、夜勤の労働者が仮眠を取る場合、その時間が業務の一部として認められるかどうかは、企業の規定や労働契約によって異なります。

仮眠時間の取り扱いについては、企業と労働者の間で明確なルールを設けることが重要です。

休憩時間は分割付与も可能

休憩時間は、まとめて付与するだけでなく、分割して付与することも可能です。

例えば、15分の休憩を3回に分けて取得することで、適度なリフレッシュ効果を得ることができます。

ただし、分割付与を行う場合は、労働者が適切に休憩を取れるようにするための管理が必要です。
企業は、業務の流れを考慮しながら、最適な休憩時間の運用を行うことが求められます。

関連記事:IPO準備企業が整備すべき人事・労務とは 懸念点についても解説

  IPO準備企業が整備すべき人事・労務とは 懸念点についても解説 IPOを目指す場合、経営の基礎や体制が整っているか人事・労務の内容についても上場の際に審査されることになる。そこでIPO準備企業が整備すべき人事・労務の面でどのような整備が必要か、懸念点について具体例などを交えながら解説。 RISK EYES


労働基準法で定められた休憩時間に違反した場合の罰則

労働基準法で定められた休憩時間に違反した場合の罰則

労働基準法では、労働者の健康を守るために適切な休憩時間の付与が義務付けられています。
しかし、企業がこの規定に違反した場合、法的な罰則が科される可能性があります。

休憩時間の違反には、例えば「労働時間が6時間を超えているのに休憩を与えない」「8時間を超えているのに1時間の休憩を確保しない」などのケースが含まれます。

これらの違反が発覚した場合、企業は6か月以下の懲役または30万円以下の罰金に処せられる可能性があります。

また、休憩時間を形式的に設けていても、実際には業務を命じている場合も違反となります。

例えば、休憩時間中に電話対応や来客対応を指示することは、労働者が業務から完全に解放されていないため、休憩時間として認められません。

このような違反が続くと、労働基準監督署の調査対象となり、企業の信用にも影響を及ぼす可能性があります。

企業は、労働基準法の休憩時間の規定を遵守し、労働者が適切に休憩を取得できる環境を整えることが求められます。

違反を防ぐためには、就業規則の見直しや労働時間の管理を徹底し、労働者が安心して働ける職場づくりを進めることが重要です。

適切な休憩時間の確保は、労働者の健康維持だけでなく、業務効率の向上にもつながります。
企業としても、法令を遵守しながら、働きやすい環境を整えることが求められます。

関連記事:労務コンプライアンスとは?違反事例とチェックポイントを解説

  労務コンプライアンスとは?違反事例とチェックポイントを解説 現代社会において、長時間労働やハラスメントなどの労働問題は大きな課題となっています。この記事では、労務コンプライアンスとは何なのか、また違反事例と労務コンプライアンス徹底のためのチェックポイントについても解説します。 RISK EYES


まとめ

休憩時間は、労働者の健康を守り、生産性を向上させるために欠かせません。
労働基準法では、労働時間に応じた休憩の付与が義務付けられており、違反すると罰則の対象になります。

企業は適切な管理を行い、労働環境の改善に努めることで、従業員の働きやすさを確保できます。正しいルールを理解し、休憩の重要性を認識しましょう。

関連記事:IPO準備企業が上場審査に向けて整えるべき労務管理体制とは
関連記事:雇用に関連する法律と主なルール 違反した場合のリスクと罰則も解説

  IPO準備企業が上場審査に向けて整えるべき労務管理体制とは 株式を公開することで大きなメリットを得られる株式上場。IPOに向けて準備を進める中、労務管理体制は上場審査で厳しく審査される項目。今回の記事では、IPO準備における労務管理体制について解説。 RISK EYES
  雇用に関連する法律と主なルール 違反した場合のリスクと罰則も解説 労働三法をはじめとして、人事・労務担当者の業務に関連する法律は多数存在します。この記事では、雇用に関連する法律とルール、それらに違反した場合のリスクと罰則について解説します。 RISK EYES


RISK EYES編集部
RISK EYES編集部
反社チェックツール「RISK EYES」のブログ編集部です。反社関連の情報だけでなく、与信やコンプライアンス全般、IPO準備などについても執筆しています。
▼反社チェックツールを無料で試してみる
反社チェック無料トライアル