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ESG投資とは?注目される背景と7つの種類、取り組み事例をわかりやすく解説

環境・社会・ガバナンスに配慮した「ESG投資」が、持続可能な経営の鍵として注目を集めています。

SDGsの浸透や投資家の価値観の変化により、企業のESG対応が評価軸に。

この記事では、ESG投資の基本から7つの手法、企業の実践事例までをわかりやすく解説します。

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目次[非表示]

  1. 1.ESG投資とは
    1. 1.1.ESG投資が注目される背景
      1. 1.1.1.SDGsへの関心の高まり
      2. 1.1.2.投資家の意識変化
      3. 1.1.3.日本の年金を運用する「GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)」も推進
  2. 2.ESG投資の7つの種類
    1. 2.1.ポジティブスクリーニング
    2. 2.2.ネガティブスクリーニング
    3. 2.3.国際規範スクリーニング
    4. 2.4.ESGインテグレーション
    5. 2.5.サステナビリティ・テーマでの投資
    6. 2.6.インパクト投資
    7. 2.7.エンゲージメント/議決権行使
  3. 3.ESG投資を意識した経営を行うメリット
    1. 3.1.投資家からの評価向上
    2. 3.2.経営の長期的な安定
    3. 3.3.キャッシュフローの増強による企業の成長
  4. 4.企業のESGに関する取り組み事例
    1. 4.1.環境に配慮した自社製品の製造
    2. 4.2.グループ企業でガバナンスを強化
    3. 4.3.廃棄物の極小化
    4. 4.4.環境に配慮されたオフィス家具・設備の導入
    5. 4.5.オフィスの省エネ対策を強化
    6. 4.6.環境に配慮したオフィスへの移転
  5. 5.ESG投資に取り組む際の注意点
    1. 5.1.長期的な視点での取り組みと評価をする
    2. 5.2.ESGへの取り組みのアピールも重要
    3. 5.3.統一的な評価基準はない
  6. 6.まとめ

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ESG投資とは

ESG投資とはESG投資とは、環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)の3要素を重視して行う投資手法です。

従来の財務指標だけでなく、企業の持続可能性や社会的責任を評価軸に加えることで、長期的な成長とリスク管理を両立させるアプローチとして注目されています。

気候変動や人権問題、企業統治の透明性など、非財務情報が企業価値に直結する時代において、ESG投資は新たなスタンダードとなりつつあります。

ESG投資が注目される背景

ESG投資が急速に広がっている背景には、社会全体の価値観の変化と政策的な後押しがあります。

環境問題や人権課題が深刻化する中で、企業の責任ある行動が求められるようになり、投資家もその姿勢を重視するようになりました。

また、国際的な枠組みや政府の方針もESG投資の普及を後押ししています。
以下では、具体的な背景要因を3つに分けて解説します。

SDGsへの関心の高まり

2015年に国連が採択した「持続可能な開発目標(SDGs)」は、企業や投資家にとって重要な指針となっています。

環境保護、貧困の撲滅、ジェンダー平等など、17の目標に向けた取り組みが求められる中、企業のESG対応はSDGs達成への貢献として評価されるようになりました。

投資家は、SDGsに沿った経営を行う企業を選ぶことで、社会的責任を果たしながらリターンを得ることが可能になります。

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投資家の意識変化

近年、投資家の間で「倫理的な投資」や「インパクト投資」への関心が高まっています。

特にミレニアル世代やZ世代の若い投資家は、企業の社会的責任や環境への配慮を重視する傾向が強く、単なる利益追求ではなく、価値観に合った投資を選ぶ傾向があります。

こうした意識の変化は、資本の流れを変え、企業に対してESG対応を促す強力な圧力となっています。

日本の年金を運用する「GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)」も推進

日本においても、ESG投資は公的機関によって積極的に推進されています。
代表的なのが、世界最大級の年金基金であるGPIFです。

GPIF2017年からESG指数に連動した運用を開始し、企業のESG情報を評価に組み込む方針を打ち出しました。

この動きは、国内企業に対してESG対応の重要性を強く示すものであり、民間投資家や金融機関にも大きな影響を与えています。

公的資金がESG投資を後押しすることで、社会全体の持続可能性への意識が高まっています。

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ESG投資の7つの種類

ESG投資の7つの種類ESG投資には複数のアプローチがあり、投資家の目的や価値観に応じて手法が選ばれます。
ここでは代表的な7つの種類を紹介し、それぞれの特徴と活用のポイントを解説します。

ポジティブスクリーニング

ポジティブスクリーニングは、ESGの取り組みが優れている企業を選定して投資する手法です。

環境負荷の低減、ダイバーシティ推進、ガバナンスの透明性など、評価基準に基づいて上位企業を選びます。

持続可能性を重視する投資家にとって、企業の先進的な取り組みを応援する手段となります。

ネガティブスクリーニング

ネガティブスクリーニングは、倫理的・社会的に問題があるとされる業種や企業を除外する方法です。

たとえば、武器製造、タバコ、ギャンブル、化石燃料などが対象となることが多く、投資家の価値観に合わない企業を排除することで、リスク回避と社会的責任の両立を図ります。

国際規範スクリーニング

国際規範スクリーニングは、国連グローバル・コンパクトやILO(国際労働機関)などの国際的な基準に違反している企業を除外する手法です。

人権侵害、労働搾取、環境破壊などに関与する企業を排除することで、国際社会のルールに沿った投資を実現します。
グローバルな視点での責任投資に適しています。

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ESGインテグレーション

ESGインテグレーションは、従来の財務分析にESG要素を組み込む手法です。

企業の収益性や成長性に加え、環境リスクや社会的評価、ガバナンス体制を総合的に分析し、投資判断に反映させます。

リスク管理と長期的なリターンの両立を目指す、最も広く使われているアプローチの一つです。

サステナビリティ・テーマでの投資

この手法では、再生可能エネルギー、水資源管理、教育、ヘルスケアなど、持続可能な社会の実現に貢献するテーマに沿った企業やプロジェクトに投資します。

社会課題の解決に直結する分野への資金提供を通じて、投資家自身も社会的インパクトを実感できるのが特徴です。

インパクト投資

インパクト投資は、財務的リターンだけでなく、明確な社会的・環境的成果を生み出すことを目的とした投資です。

発展途上国の教育支援、地域医療の拡充、環境保全プロジェクトなど、成果が定量的に測定されるケースが多く、投資の「意味」を重視する層に支持されています。

エンゲージメント/議決権行使

エンゲージメントとは、投資先企業に対して対話を通じてESG改善を促す活動です。
議決権行使も含め、株主としての影響力を活用し、企業の行動変容を促します。

短期的な売買ではなく、中長期的な関係構築を通じて企業価値の向上を目指す、アクティブな投資スタイルです。

関連記事:コンプライアンスと心理的安全性の関係とは?見るべきサインや向上させる方法を解説

ESG投資を意識した経営を行うメリット

ESG投資を意識した経営を行うメリットESG投資が広がる中、企業にとってもESGを経営に取り入れることは重要な戦略となっています。

環境・社会・ガバナンスへの配慮は、単なる社会的責任ではなく、企業価値の向上や持続可能な成長につながる要素です。

ここでは、ESGを意識した経営がもたらす3つの主要なメリットを紹介します。

投資家からの評価向上

ESGに積極的な企業は、投資家からの信頼を得やすくなります。
特に機関投資家や年金基金などは、ESG対応を重視する傾向が強く、ESGスコアの高い企業に資金が集まりやすくなっています。

透明性のある情報開示や持続可能な取り組みは、企業のブランド価値を高め、資本市場での競争力を強化します。

関連記事:企業イメージをアップさせるコンプライアンス遵守を解説

経営の長期的な安定

環境リスクや社会的課題への対応は、企業のリスク管理にも直結します。

ESGを経営に組み込むことで、法規制の変化や社会的批判への耐性が高まり、レピュテーションリスクの回避にもつながります。

また、従業員のエンゲージメント向上や離職率の低下など、組織の健全性を保つ効果も期待できます。

キャッシュフローの増強による企業の成長

ESG対応によって、エネルギー効率の改善や資源の最適活用が進み、コスト削減につながるケースも多くあります。

さらに、社会的評価の高い企業は顧客や取引先からの支持を得やすく、売上の安定化や新規事業の展開にも好影響を与えます。

結果として、キャッシュフローが強化され、持続的な成長基盤が築かれます。

関連記事:人材育成とは?注目される理由や育成の目的、方法をわかりやすく解説

企業のESGに関する取り組み事例

企業のESGに関する取り組み事例ESG投資の拡大に伴い、企業も環境・社会・ガバナンスへの対応を経営戦略に組み込むようになっています。

ここでは、実際に企業が取り組んでいるESG施策の事例を紹介し、持続可能な経営のヒントを探ります。

環境に配慮した自社製品の製造

多くの企業が、製品開発の段階から環境負荷の低減を意識しています。
再生可能素材の活用や、製造工程でのCO₂排出削減、省エネ設計などが代表例です。

たとえば、家電メーカーでは省電力性能を高めたモデルを開発し、消費者の環境意識に応える製品ラインを展開しています。

グループ企業でガバナンスを強化

企業グループ全体でガバナンス体制を見直す動きも進んでいます。
コンプライアンス教育の統一、内部通報制度の整備、取締役会の多様性確保などがその一環です。

グループ間での情報共有やリスク管理を強化することで、透明性と信頼性の高い経営基盤を築いています。

関連記事:企業におけるガバナンスとは?強化する方法やメリットをわかりやすく解説

廃棄物の極小化

製造業を中心に、廃棄物の削減に向けた取り組みが加速しています。
リサイクル率の向上、廃材の再利用、ゼロエミッション工場の設計などが注目されています。

食品業界では、賞味期限管理の徹底やフードロス削減のための流通改善が進められています。

環境に配慮されたオフィス家具・設備の導入

オフィス環境においても、環境負荷を軽減する工夫が見られます。
再生素材を使用した家具や、エネルギー効率の高い照明・空調設備の導入がその一例です。

サステナブル認証を取得した製品を選定することで、企業の環境意識を社内外に示すことができます。

オフィスの省エネ対策を強化

日常業務におけるエネルギー使用量の削減も重要なテーマです。
LED照明への切り替え、空調の自動制御、ペーパーレス化の推進などが効果的です。

従業員の意識改革と合わせて、全社的な省エネ文化の醸成が求められています。

環境に配慮したオフィスへの移転

企業の中には、環境性能の高いビルへの移転を通じてESG対応を強化するケースもあります。

ZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)やLEED認証取得施設への移転は、エネルギー効率の向上だけでなく、企業イメージの向上にもつながります。

移転を機に、働き方改革やウェルビーイングの向上も図る企業が増えています。

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ESG投資に取り組む際の注意点

企業のESGに関する取り組み事例ESG投資は企業価値の向上や社会的信頼の獲得につながる一方で、取り組みにあたっては慎重な姿勢と戦略的な視点が求められます。

単なる形式的な対応ではなく、実効性と継続性を伴う施策が重要です。
ここでは、ESG投資に取り組む際に押さえておきたい3つの注意点を紹介します。

長期的な視点での取り組みと評価をする

ESG施策は短期的な成果が見えにくく、評価にも時間がかかる傾向があります。

環境対策やガバナンス改善は、数年単位で効果が現れることが多く、投資家やステークホルダーに対しても長期的な視点での説明が必要です。

一過性の対応ではなく、継続的な改善と情報開示を通じて信頼を築くことが求められます。

ESGへの取り組みのアピールも重要

優れたESG施策を実施していても、社外に十分に伝わっていなければ評価につながりません。

サステナビリティレポートの発行、第三者認証の取得、IR資料での明示など、積極的な情報発信が不可欠です。

投資家や顧客に対して、企業の姿勢や成果をわかりやすく伝えることで、ブランド価値や資本調達力の向上にもつながります。

統一的な評価基準はない

ESGの評価は、機関や指標によって基準が異なり、必ずしも一貫性があるとは限りません。
同じ企業でも、評価機関によってスコアが大きく異なることがあります。

そのため、自社にとって適切な評価軸を見極め、複数の指標を参考にしながら戦略的に対応することが重要です。

外部評価に依存しすぎず、自社の価値観と整合性のあるESG方針を持つことが、持続的な成長につながります。

関連記事:風評被害によるレピュテーションリスクとは?もたらす影響と対策を解説

まとめ

ESG投資は、企業の持続可能性と社会的責任を評価する新たな投資基準として、世界的に注目を集めています。

企業にとっては、単なる投資対象としての魅力を高めるだけでなく、経営の質を向上させる絶好の機会でもあります。

長期的な視点でESGに取り組み、社会とともに成長する企業こそが、次世代のスタンダードとなるでしょう。

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RISK EYES編集部
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反社チェックツール「RISK EYES」のブログ編集部です。反社関連の情報だけでなく、与信やコンプライアンス全般、IPO準備などについても執筆しています。
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