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パーパス経営とは?導入ステップ・メリット・注意点をわかりやすく解説

近年、企業の「存在意義」に注目が集まり、パーパス経営が重要なキーワードとなっています。

利益だけでなく、社会的価値を追求するこの経営手法は、持続可能な成長やステークホルダーとの信頼構築に欠かせません。

この記事では、パーパス経営の基本から導入ステップ、メリット、注意点までをわかりやすく解説します。

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目次[非表示]

  1. 1.パーパス経営とは
    1. 1.1.MVV(ミッション・ビジョン・バリュー)との違い
  2. 2.パーパス経営が注目される背景
    1. 2.1.SDGs・サステナビリティへの関心の高まり
    2. 2.2.ESG投資の広がり
    3. 2.3.DX(デジタルトランスフォーメーション)の浸透
    4. 2.4.ミレニアル世代の主軸化
    5. 2.5.VUCA時代の到来
  3. 3.パーパス経営のメリット
    1. 3.1.企業の永続的発展・成長
    2. 3.2.ステークホルダーの信頼獲得
    3. 3.3.従業員エンゲージメントの向上
    4. 3.4.イノベーションの創出
    5. 3.5.意思決定の迅速化
  4. 4.パーパス経営を実践するステップ
    1. 4.1.3C分析
    2. 4.2.パーパスの言語化
    3. 4.3.行動指針の策定
    4. 4.4.事業・組織運営への反映
    5. 4.5.継続的な評価と改善
  5. 5.パーパス経営に取り組む際の注意点
    1. 5.1.ターゲットを限定しない
    2. 5.2.収益の確保をおろそかにしない
    3. 5.3.パーパスウォッシュ状態に陥らない
  6. 6.まとめ

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パーパス経営とは

パーパス経営とは

パーパス経営とは、企業が「何のために存在するのか」という根本的な問いに向き合い、その存在意義(パーパス)を軸に経営を行う手法です。

単なる利益追求ではなく、社会的価値の創出や持続可能な未来への貢献を重視する点が特徴です。

企業活動のあらゆる場面にパーパスを浸透させることで、ステークホルダーとの信頼関係を築き、従業員のエンゲージメントや意思決定の一貫性を高めることができます。

近年では、SDGsやESG投資の広がり、ミレニアル世代の価値観の変化などを背景に、多くの企業がパーパス経営に注目しています。

MVV(ミッション・ビジョン・バリュー)との違い

MVVは企業の行動や価値観を示す指針であり、ミッション・ビジョン・バリューがそれぞれの役割を担います。

一方、パーパスは「なぜそれをするのか」という存在意義に着目し、MVVの根底を支える概念です。
両者は補完関係にあり、パーパスの明確化がMVVの実効性を高めます。

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パーパス経営が注目される背景

パーパス経営が注目される背景

企業が単なる利益追求から脱却し、社会的意義を重視する「パーパス経営」が注目されるようになった背景には、時代の大きな価値観の変化があります。

持続可能性や倫理性が重視される現代において、企業は社会との関係性を再定義し、存在意義を明確にすることが求められています。

以下では、パーパス経営が注目される主な要因について解説します。

SDGs・サステナビリティへの関心の高まり

国連が提唱するSDGs(持続可能な開発目標)は、企業活動においても重要な指針です。

環境保護、貧困の解消、ジェンダー平等など、社会課題への取り組みが企業の責任として認識されるようになり、単なるCSR活動ではなく、経営の根幹にサステナビリティを組み込む必要性が高まっています。

パーパス経営は、こうした社会的要請に応える枠組みとして機能し、企業の存在意義を社会課題と結びつけることで、持続可能な成長を実現します。

ESG投資の広がり

ESG(環境・社会・ガバナンス)を重視する投資が世界的に拡大しており、企業の非財務的な価値が投資判断に大きな影響を与えるようになっています。

投資家は企業の収益性だけでなく、社会的責任や倫理性、透明性を評価する傾向が強まっており、パーパスの明確化は資本市場における信頼獲得にもつながります。

企業がパーパスを軸に経営を行うことで、ESG評価の向上や長期的な資金調達力の強化が期待できます。

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DX(デジタルトランスフォーメーション)の浸透

テクノロジーの進化により、業界構造やビジネスモデルが急速に変化しています。

DX(デジタルトランスフォーメーション)は、単なるIT導入にとどまらず、企業の価値提供のあり方そのものを再定義する動きです。

このような変革の中で、企業が何を目指し、どのような価値を社会に提供するのかという「軸」が求められています。

パーパスは、変化の中でもぶれない指針として機能し、DXの方向性を定める羅針盤となります。

ミレニアル世代の主軸化

1980年代〜2000年代初頭に生まれたミレニアル世代が、消費者としても労働者としても社会の中心を担うようになっています。

彼らは企業の社会的意義や倫理性に敏感であり、単なる商品やサービスの質だけでなく、企業の姿勢や価値観に共感するかどうかを重視します。

採用や定着、ブランド構築においても、パーパスの明確化は重要な要素となっており、企業がこの世代と価値観を共有することが競争力の源泉となります。

VUCA時代の到来

現代は、変動性(Volatility)、不確実性(Uncertainty)、複雑性(Complexity)、曖昧性(Ambiguity)に満ちた「VUCA時代」と呼ばれています。

予測困難な環境下では、従来の計画主義的な経営手法では対応が難しくなっており、柔軟性と一貫性を両立する新たな経営軸が求められています。

パーパスは、こうした不確実な状況でも企業の意思決定や行動の基準となり、組織全体の方向性を統一する役割を果たします。

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パーパス経営のメリット

パーパス経営のメリット

パーパス経営は、企業が「何のために存在するのか」という根本的な問いに向き合い、社会的意義を軸に経営を行う手法です。

この考え方を取り入れることで、企業は単なる利益追求を超えた価値創造を実現し、持続可能な成長を目指すことができます。

以下では、パーパス経営がもたらす主なメリットについて解説します。

企業の永続的発展・成長

パーパスを明確にすることで、企業は短期的な利益にとらわれず、長期的な視点で社会と共に成長する姿勢を築くことができます。

社会課題の解決を事業の中心に据えることで、新たな市場や顧客層の開拓につながり、企業の持続的な発展を支える基盤となります。

ステークホルダーの信頼獲得

企業の存在意義が明確であれば、顧客、従業員、株主、地域社会など、あらゆるステークホルダーに対して一貫したメッセージを発信することができます。

社会的価値を重視する姿勢は、企業の透明性や誠実さを示すものとなり、信頼関係の構築に大きく寄与します。

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従業員エンゲージメントの向上

パーパスに共感する従業員は、自らの業務に意味を見出しやすくなり、仕事への意欲や満足度が高まります。

企業の目的と個人の価値観が重なることで、組織全体のエンゲージメントが向上し、離職率の低下や生産性の向上にもつながります。

イノベーションの創出

社会的課題に向き合う姿勢は、既存の枠組みにとらわれない発想を促します。

パーパスを起点にした事業開発は、従来の延長線上では生まれにくい革新的なサービスやプロダクトの創出につながり、企業の競争力を高める原動力となります。

意思決定の迅速化

パーパスが明確であれば、複雑な状況でも判断基準がぶれず、迅速かつ一貫した意思決定が可能になります。

経営陣から現場まで、組織全体が同じ価値観を共有することで、迷いなく行動できる環境が整い、変化への対応力も高まります。

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パーパス経営を実践するステップ

パーパス経営を実践するステップ

パーパス経営を成功させるためには、単に理念を掲げるだけでは不十分です。

企業の存在意義を明確にし、それを組織全体に浸透させ、具体的な行動へと落とし込むプロセスが求められます。

ここでは、パーパス経営を実践するための5つのステップをご紹介します。

3C分析

まずは「Company(自社)」「Customer(顧客)」「Competitor(競合)」の3Cを分析し、自社の強みや社会的役割を明確にします。

自社がどのような価値を提供できるのか、顧客や社会が何を求めているのか、競合との差別化ポイントは何かを整理することで、パーパスの土台が形成されます。

内外の環境を客観的に把握することが、的確なパーパス設計の第一歩です。

パーパスの言語化

分析結果をもとに、自社の存在意義を明文化します。
​​​​​​​抽象的な理念ではなく、具体的かつ共感を呼ぶ言葉で表現することが重要です。

従業員や顧客、投資家など、さまざまなステークホルダーに伝わるよう、簡潔で力強いメッセージに仕上げましょう。
言語化されたパーパスは、企業の行動や意思決定の基準となります。

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行動指針の策定

パーパスを実現するためには、日々の業務に落とし込む行動指針が必要です。

企業としてどのような価値観を持ち、どのような行動を推奨するのかを明確にすることで、従業員が迷わず判断・行動できる環境が整います。

行動指針は、採用・評価・育成などの人事制度にも反映させることで、組織文化の醸成につながります。

事業・組織運営への反映

言語化されたパーパスと行動指針を、実際の事業活動や組織運営に反映させることが重要です。

経営戦略、商品開発、マーケティング、人材育成など、あらゆる領域でパーパスを軸に意思決定を行うことで、企業全体の一貫性が高まります。

トップダウンとボトムアップの両面から浸透を図ることが、実効性を高める鍵となります。

継続的な評価と改善

パーパス経営は一度策定して終わりではなく、継続的な評価と改善が不可欠です。

社会環境や事業状況の変化に応じて、パーパスの内容や運用方法を見直すことで、常に時代に合った経営が可能になります。

定期的な社内アンケートや外部評価を活用し、実践状況を可視化することも効果的です。

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パーパス経営に取り組む際の注意点

パーパス経営に取り組む際の注意点

パーパス経営は企業の持続的な成長や社会的価値の創出に寄与する有効な手法ですが、導入にあたっては注意すべきポイントも存在します。

理念先行で実態が伴わない場合、かえって信頼を損なうリスクもあるため、以下の点を意識して取り組むことが重要です。

ターゲットを限定しない

パーパスを策定する際、特定の顧客層や市場に偏った視点で定義してしまうと、企業の可能性を狭めてしまう恐れがあります。

社会全体に対する価値提供を意識し、広い視野でパーパスを設計することが求められます。
多様なステークホルダーに共感される内容であることが、企業の柔軟性と成長力を高める鍵となります。

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収益の確保をおろそかにしない

社会的意義を重視するあまり、収益性を軽視してしまうと、事業の持続性が損なわれる可能性があります。

パーパス経営は理想と現実のバランスが重要であり、社会貢献と収益の両立を図る視点が不可欠です。

パーパスを軸にした事業戦略を構築し、経済的な成果にもつなげることで、継続的な価値創造が可能になります。

パーパスウォッシュ状態に陥らない

表面的にパーパスを掲げるだけで、実際の行動や成果が伴っていない状態を「パーパスウォッシュ」と呼びます。

これは企業の信頼を大きく損なう要因となり、ステークホルダーからの批判を招くこともあります。

パーパスは理念だけでなく、具体的な施策や行動、成果によって裏付けられる必要があります。
社内外に対して誠実に取り組み、実態を伴ったパーパス経営を実践することが重要です。

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まとめ

パーパス経営は、企業が社会と共に持続的に成長していくための重要な経営手法です。
MVVを超えた存在意義を明確にし、それを事業や組織運営に反映させることで、企業は信頼・共感・革新を生み出すことができます。

導入にあたっては、丁寧な分析と言語化、そして組織全体への浸透が必要となりますが、正しく実践することで、企業の競争力と社会的価値の両立が可能となります。

変化の激しい時代において、パーパスを軸にした経営は、企業の持続的な発展を支える有効なアプローチです。

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RISK EYES編集部
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反社チェックツール「RISK EYES」のブログ編集部です。反社関連の情報だけでなく、与信やコンプライアンス全般、IPO準備などについても執筆しています。
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