
株主総会とは?基礎知識や決定事項、開催の流れをわかりやすく解説
企業の運営において重要な意思決定が行われる「株主総会」。
会社の経営方針を決める場として、株主が直接参加し、さまざまな議題について決議を行います。
この記事では、株主総会の基礎知識から決定事項、開催の流れまでを詳しく解説します。
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目次[非表示]
- 1.株主総会の基礎知識
- 1.1.そもそも株主総会とは
- 1.1.1.取締役会との違い
- 1.2.株主総会の登場人物
- 1.3.株主総会の開催時期
- 2.株主総会の種類
- 3.株主総会で決定する主な事項
- 3.1.会社の組織・事業に関する重要事項
- 3.2.株主の権利に直接関係する事項
- 3.3.役員等の選任・解任
- 3.4.役員報酬
- 4.株主総会の成立要件
- 5.株主総会開催の流れ
- 5.1.必要な事前準備
- 5.2.取締役会での招集事項の決議
- 5.3.株主への招集通知書等の発送
- 5.4.当日の議事進行・採決
- 5.5.議事録の作成・保存
- 6.まとめ
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株主総会の基礎知識
株主総会は、株式会社の所有者である株主が集まり、会社の重要事項を決定する場です。
経営方針の承認や役員の選任などが行われ、企業にとって不可欠な意思決定の機会となります。
取締役会とは異なり、株主が直接関与し、会社の未来に影響を与えます。
定時株主総会は毎年開催され、臨時株主総会は必要に応じて開催されます。
総会には株主、取締役、監査役などが参加し、議案を討議します。
企業の透明性と成長にとって、株主総会は非常に重要な役割を果たします。
そもそも株主総会とは
株主総会は、株式会社の株主が集まり、経営方針や重要な事項を決定する場です。
株主は、自らの権利を行使し、会社の方向性について意見を述べることができます。
通常、株主総会では決算報告や役員の選任、事業計画の承認などが行われます。
企業活動の大枠を決める重要な場であるため、会社法に基づき適正な手順で開催されなければなりません。
特に上場企業の場合、株主が多数存在するため、透明性と公平性が求められます。
取締役会との違い
株主総会とよく比較されるのが「取締役会」です。
取締役会は、日常的な経営判断を行う場であり、企業の運営を担う取締役が集まって経営に関する意思決定を行います。
一方、株主総会はより広範囲の重要な決定を行い、株主による承認を経て会社の未来を形作る場となります。
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株主総会の登場人物
株主総会には、以下の主要な登場人物が関わります。
- 株主:会社の所有者であり、議決権を持つ。企業の重要事項に対して決定権を行使する。
- 取締役:会社の運営を担当し、株主総会において業績や事業計画について説明を行う。
- 監査役:取締役の業務を監督し、不正や不適切な経営が行われていないかを確認する。
- 議長:株主総会を進行する役割を担う。通常、代表取締役や取締役の一人が務める。
これらの登場人物が協力しながら、株主総会は進行します。
株主総会の開催時期
株主総会の開催時期は会社法により定められています。
定時株主総会は、事業年度終了後一定期間内に開催することが義務付けられています。
例えば、日本の3月決算企業では、6月に株主総会を開催することが一般的です。
一方、臨時株主総会は企業の経営判断によって適宜開催されます。
例えば、企業の合併や重要な経営方針の変更など、通常の株主総会では対応できない事項が発生した場合に、臨時株主総会を開催することになります。
株主総会の準備には時間がかかるため、事前にスケジュールを組み、株主へ適切な通知を行う必要があります。
特に上場企業の場合、多くの株主が関与するため、準備は慎重に行う必要があります。
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株主総会の種類
企業の経営に関する重要な意思決定が行われる「株主総会」には、大きく分けて2種類あります。
それが「定時株主総会」と「臨時株主総会」です。
それぞれの特徴や開催目的を理解することで、株主として適切に参加することができます。
詳しく解説します。
定時株主総会
定時株主総会は、企業の事業年度終了後に開催される、会社法で義務付けられた株主総会です。
企業の決算報告や経営計画の説明が行われるほか、役員選任や株主への配当決定など、会社の基本的な運営に関わる重要な議案が審議されます。
この総会では、取締役が会社の業績や今後の方針を株主に説明し、株主はそれをもとに経営方針に賛成・反対の意思を示します。
特に上場企業の場合、多くの株主が関与するため、透明性の高い運営が求められます。
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臨時株主総会
臨時株主総会は、企業にとって緊急の意思決定が必要となった際に開催される総会です。
例えば、会社の合併・分割、新規事業の展開、定款変更など、経営上の大きな方針転換が求められる場合に、取締役会の決定を経て臨時株主総会が開かれます。
定時株主総会とは異なり、必要に応じて開催されるため、その開催タイミングは企業によって異なります。
また、議案によっては特別決議が求められる場合もあり、株主の承認が重要な鍵を握ります。
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株主総会で決定する主な事項
企業の意思決定において、株主総会は重要な役割を果たします。
株主は経営に関する重大な事項について投票を行い、企業の方向性を決定することができます。
ここでは、株主総会で決定される主な事項について詳しく解説します。
会社の組織・事業に関する重要事項
企業の構造や戦略を決める重要な議案が株主総会で決定されます。
例えば、会社の合併や分割、新規事業の立ち上げ、定款変更などがこれに該当します。
これらの決定は企業の長期的な方向性に影響を与えるため、株主の慎重な判断が求められます。
特に定款変更は、企業の根本的なルールを変更することになるため、株主総会での特別決議が必要となる場合があります。
株主の権利に直接関係する事項
株主総会では、株主の利益に直結する事項も審議されます。
例えば、配当金の支払いや株式分割、新株発行などが決定されます。
配当金は企業の業績に応じて変動し、株主の利益として還元されます。
一方、新株発行は企業の資金調達手段として用いられますが、既存株主の持ち株比率に影響を与えるため、慎重な検討が必要です。
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役員等の選任・解任
企業の経営陣を決定することも株主総会の重要な役割です。
取締役や監査役の選任・解任が行われ、企業の経営方針や業績に応じて適切な人材が選ばれます。
役員の選任は、企業のビジョンを実現するための鍵となるため、株主の視点から経営陣の資質や実績を評価することが重要です。
また、業績が芳しくない場合や経営方針の変更が必要な場合には、役員の解任が議論されることもあります。
役員報酬
取締役や監査役の報酬額を決定することも、株主総会の議案のひとつです。
役員報酬は企業の業績や市場の動向に応じて設定され、適正な水準であることが求められます。
報酬が高すぎると株主の利益を損ねる可能性があり、逆に低すぎると優秀な人材の確保が困難になるため、バランスを取ることが重要です。
最近では、業績連動型の報酬制度を採用する企業も増え、株主の利益と役員報酬がより密接に結びついています。
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株主総会の成立要件
株主総会では、会社の重要な意思決定が行われますが、その決議には一定の成立要件が定められています。
決議の種類によって、必要な議決権の割合や承認の条件が異なります。
ここでは「普通決議」「特別決議」「特殊決議」について詳しく解説します。
普通決議
普通決議は、株主総会における最も一般的な決議方法です。
議決権を持つ株主の過半数(50%以上)の賛成があれば成立します。
例えば、役員の選任・解任、配当の決定、計算書類の承認など、会社の基本的な運営に関わる議案が普通決議の対象となります。
この決議は、比較的ハードルが低いため、会社の日常的な運営に関わる事項についてスムーズに意思決定できるようになっています。
株主の過半数が賛成すれば可決されるため、企業の円滑な経営には欠かせません。
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特別決議
特別決議は、会社の重要な変化を伴う事項に対して必要とされる決議方法です。
成立には、議決権の3分の2以上の賛成が必要となり、普通決議よりも厳格な承認条件が設けられています。
対象となる議案には、定款変更、事業譲渡、会社の解散、合併など、企業の根本的な構造に関わる決定が含まれます。
これらの事項は、企業の方向性を大きく左右するため、株主の幅広い合意を得る必要があります。
特別決議の厳しい成立条件は、企業の重要な決定が慎重に行われることを保証する役割を果たしています。
特殊決議
特殊決議は、さらに厳格な条件を求められる決議方法で、議決権の3分の2を超える割合の賛成に加え、総株主の一定割合以上が出席している必要があります。
これは、会社の支配構造や重要な方針に関する重大な変更に対して用いられる決議方法です。
例えば、監査役の解任や特定の経営判断に関する特別な承認を求める場合に適用されることがあります。
特殊決議が必要な場面は限定的ですが、企業運営において極めて慎重に判断するべき場合に採用されます。
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株主総会開催の流れ
株主総会は企業の重要な意思決定が行われる場であり、その開催には慎重な準備と適切な手続きが必要です。
ここでは、株主総会の開催の流れを詳しく解説します。
必要な事前準備
株主総会を円滑に進めるためには、事前準備が欠かせません。
まず、株主総会の開催日や議題を決定し、関係者との調整を行います。
議題に関する資料を作成し、株主が適切に判断できるよう準備を進めることが重要です。
また、会場の手配やオンライン配信の準備、投票方法の確認など、総会の実施に向けた細かな調整を行います。
取締役会での招集事項の決議
株主総会の招集には、取締役会による決議が必要です。
取締役会では、総会の日時、議題、開催方法(対面・オンライン)、株主への通知内容などを決定します。
定款に定められたルールに従い、適切な方法で決議が行われ、総会の実施に向けた準備が整えられます。
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株主への招集通知書等の発送
株主総会の開催が決定したら、株主へ正式な招集通知を送付します。
招集通知には、総会の日時、場所、議題、議決方法、必要な持ち物などの情報が記載されます。
株主が準備できるよう、開催日の2週間以上前に通知を発送するのが一般的です。
最近では、電子通知を活用する企業も増え、より効率的な株主対応が行われています。
当日の議事進行・採決
株主総会当日は、議長が進行を担当し、定められた議題に沿って議論が進められます。
株主からの質問や意見が交わされる場面もあり、企業は透明性の高い運営を心がける必要があります。
議案について採決が行われ、普通決議・特別決議・特殊決議の種類に応じて決定されます。
近年では、オンライン投票や電子議決権の活用も進み、より多くの株主が参加しやすい環境が整えられています。
議事録の作成・保存
株主総会終了後、議事録を作成し、議案の審議内容や採決結果を記録します。
議事録は、企業の透明性を示す重要な書類であり、一定期間保存が求められます。
また、株主や関係者が後から内容を確認できるよう、適切な形式で保管することが必要です。
企業の意思決定の履歴として、議事録の管理は慎重に行われます。
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まとめ
株主総会は、会社の重要な意思決定を行う場であり、企業経営にとって不可欠なイベントです。
定時株主総会と臨時株主総会の違いや決議事項の種類を理解し、適切な準備と運営を行うことが、企業と株主にとって有益な株主総会の実現につながります。
株主総会についてさらに詳しく知りたい方は、会社法や実際の企業の運営例も参考にすると理解が深まるでしょう。
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