
ダイレクトリクルーティングとは?特徴や種類、成功させるポイントを解説
近年、採用市場は大きく変化し、従来の求人手法だけでは優秀な人材を確保するのが困難になりつつあります。
そんな中、注目を集めるのが「ダイレクトリクルーティング」です。
この記事では、企業主導で人材にアプローチするこの手法の特徴や活用方法、成功の鍵について詳しく解説します。
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目次[非表示]
- 1.ダイレクトリクルーティングとは
- 1.1.ダイレクトリクルーティングが注目される背景
- 1.1.1.求人倍率の増加による人材発掘の難化
- 1.1.2.採用にかかる費用が削減傾向
- 1.1.3.ITの発達
- 2.ダイレクトリクルーティングの特徴
- 2.1.企業からの「攻め」の採用活動
- 2.2.潜在層へのアプローチが可能
- 2.3.採用コストの削減が可能
- 2.4.スピーディな選考が可能
- 3.ダイレクトリクルーティングの種類
- 3.1.SNSからのコンタクト
- 3.2.人材データベースやスカウトサービスの活用
- 3.3.勉強会やイベントで知り合った人へのコンタクト
- 3.4.リファラル採用
- 4.ダイレクトリクルーティングが向いている企業の特徴
- 5.ダイレクトリクルーティングを成功させるポイント
- 5.1.採用課題を明確にする
- 5.2.組織全体で採用活動に取り組む
- 5.3.企業の魅力を発信・公開する
- 5.4.柔軟な母集団形成
- 5.5.ノウハウの蓄積と長期的視点を持つ
- 6.まとめ
ダイレクトリクルーティングとは
ダイレクトリクルーティングとは、企業が求人広告や人材紹介サービスを通さず、直接候補者にアプローチして採用する手法です。
採用担当者がSNSやスカウトサービスを活用し、自社に合う人材を見極めて声をかける「攻めの採用」が特徴で、特に専門性の高い人材や即戦力を求める企業に注目されています。
ダイレクトリクルーティングが注目される背景
企業がダイレクトリクルーティングに注目する背景には、採用市場の変化とコスト構造の見直し、そしてテクノロジーの進化という3つの要因があります。
以下、それぞれを詳しく見ていきましょう。
求人倍率の増加による人材発掘の難化
慢性的な人手不足が続く中、有効求人倍率は高い水準で推移しています。
特に専門性の高い人材や管理職経験者、若手即戦力などは争奪戦が激化しており、「求人を出せば応募が来る」という時代ではなくなりつつあります。
このような環境では、企業自らがアクションを起こし、ターゲット層にピンポイントでアプローチするダイレクトリクルーティングが有効な手段となります。
関連記事:リファラル採用とは?目的やメリット・デメリット、成功させるポイントをわかりやすく解説
採用にかかる費用が削減傾向
従来の求人広告や人材紹介会社を利用した場合、採用1件あたりにかかる費用は決して小さくありません。
一方、ダイレクトリクルーティングでは、社内での対応を中心に進めることで中間コストを削減できる可能性があります。
初期投資や広告出稿費を抑えつつ、狙った人材にアプローチできる点が、多くの企業に支持される理由です。
ITの発達
SNSや人材プラットフォームの普及により、企業が個人の職務経歴やスキル情報に手軽にアクセスできるようになりました。
また、AIによるレコメンドやターゲティング技術の進化により、マッチ度の高い人材と効率的につながることが可能となっています。
こうした技術的な土壌が整ってきたことで、ダイレクトリクルーティングは実現可能性の高い手法として広く浸透しつつあります。
関連記事:採用コストの相場はどのくらい?中途・新卒採用の平均コストや計算方法、コスト削減のポイントを解説
ダイレクトリクルーティングの特徴
ダイレクトリクルーティングは、「待つ」採用から「攻める」採用へと企業の姿勢を大きく転換させるアプローチです。
特に候補者主導型の採用市場において、企業が能動的に動くことの重要性が増しています。
ここでは、ダイレクトリクルーティングならではの4つの特徴をご紹介します。
企業からの「攻め」の採用活動
従来の求人広告や人材紹介は、求職者からの応募を待つ「受動型」の手法でした。
一方で、ダイレクトリクルーティングは企業側から候補者に直接アプローチするため、採用活動の主導権を握ることができます。
特に、他社に流出しやすい優秀な人材や転職潜在層に対して、スピード感を持って動ける点が大きな強みです。
関連記事:採用戦略とは?進め方やメリット、ポイントをわかりやすく解説
潜在層へのアプローチが可能
求人サイトを日常的に利用していないものの、転職の可能性を持つ「潜在層」へのアプローチが可能です。
特にLinkedInやビジネスSNSでは、すぐに転職する意志がない人材ともつながりを持てるため、採用母集団の幅を広げることができます。
関係構築型の採用スタイルは、候補者との中長期的な信頼関係の構築にもつながります。
採用コストの削減が可能
人材紹介サービスのように年収の一定割合を手数料として支払う必要がなく、自社でアプローチを完結できる点も大きな魅力です。
スカウトツールやデータベースの利用には一定の費用がかかりますが、採用単価を大幅に削減できるケースも多く、特に採用予算の限られる中小企業にとっては有効な手段となります。
スピーディな選考が可能
企業と候補者がダイレクトにやり取りするため、一次対応や書類確認などのやり取りも迅速に行えます。
また、候補者の返信スピードやコミュニケーションの温度感がリアルタイムで把握できるため、選考過程でのミスマッチやロスを最小限に抑えることができます。
結果として、内定承諾までの期間を短縮しやすくなります。
関連記事:採用担当者必見!中途採用の成功事例と成功させるポイントを徹底解説
ダイレクトリクルーティングの種類
ダイレクトリクルーティングにはさまざまな手法が存在し、企業のリソースや採用ニーズに応じて活用方法も変わってきます。
ここでは、代表的な4つのアプローチについて紹介します。
SNSからのコンタクト
LinkedInやX(旧Twitter)、FacebookなどのSNSを活用して、企業が候補者に直接アプローチする方法です。
SNSには職務経歴やスキル、興味関心が明記されていることが多く、ターゲティング精度の高いアプローチが可能です。
特にIT業界やグローバル人材の採用では、SNS経由のスカウトが広く活用されています。
メッセージの内容やタイミング次第で候補者との関係性を築ける点が魅力です。
関連記事:採用広告の種類とそれぞれのメリット、効果的に活用する方法を解説
人材データベースやスカウトサービスの活用
doda Recruitersやビズリーチ、AMBIといったスカウト型求人サービスでは、職種やスキル、勤務地などの詳細条件で検索でき、自社に合った人材へ効率的にアプローチできます。
また、アプローチの履歴や候補者の反応も可視化されているため、PDCAを回しながら採用活動を改善していくことが可能です。
短期採用から中長期的人材プール形成まで幅広く活用できる手法です。
勉強会やイベントで知り合った人へのコンタクト
リアルまたはオンラインで開催される勉強会・セミナー・業界イベントなどに参加し、その場で出会った参加者にアプローチする方法です。
同じ分野への関心を共有しているため、自然に関係を築きやすい点が特長です。
イベント終了後にSNSでつながり、カジュアルな面談を提案するなど、温度感の高いアプローチが可能です。
特にエンジニアやクリエイターなど、スキル志向の高い職種で効果を発揮します。
関連記事:採用プロセスとは?設計するメリットや一般的な流れ、ポイントをわかりやすく解説
リファラル採用
既存社員の紹介を通じて優秀な人材にアプローチする「リファラル採用」も、ダイレクトリクルーティングの一種です。
紹介者と紹介先の信頼関係があるため、ミスマッチが起こりづらく、早期離職のリスクも低減できます。
紹介者にインセンティブを設けることで、社員の主体的な協力も得やすくなり、社内全体の採用意識向上にもつながります。
関連記事:採用のミスマッチを防ぐリファレンスチェックとは?メリット・デメリットについて解説
ダイレクトリクルーティングが向いている企業の特徴
ダイレクトリクルーティングは、スピード感と柔軟な意思決定が求められるスタートアップや成長企業に特に適しています。
また、専門性の高い人材や希少なスキルセットを必要とする企業、採用単価を抑えたい中小企業にも有効です。
さらに、企業文化や価値観への共感を重視する企業にとっては、候補者と直接対話することで相性の良い人材に出会いやすく、定着率の高い人材の採用が可能となります。
関連記事:【採用担当者必見】面接時に聞くべきこととは?基本的な流れや人材を見極めるポイントを解説
ダイレクトリクルーティングを成功させるポイント
ダイレクトリクルーティングは、手法そのものの導入だけで成果が上がるわけではありません。
戦略的に運用し、組織全体で取り組むことで初めて価値が発揮されます。
ここでは、導入から定着・成果創出までを見据えた、成功のための5つのポイントを解説します。
採用課題を明確にする
まず必要なのは、自社の採用における課題や目標を明確にすることです。
どの職種で人材が不足しているのか、どのようなスキル・経験・マインドを持つ人材を採用したいのかを具体化することで、アプローチすべきターゲット像が明確になります。
これにより、無駄な工数を省き、成果に直結しやすいアクションが可能になります。
関連記事:採用基準を設ける重要性とメリットとは?3つの要素や設定のポイントを解説
組織全体で採用活動に取り組む
ダイレクトリクルーティングは人事部門単独では完結しません。
現場マネージャーや社員が候補者に直接アプローチする場面も多く、経営層の巻き込みも重要です。
例えば、現場担当者がスカウトメッセージを送り、カジュアル面談を実施できる体制を整えることで、実務に即したリアルな情報提供ができ、候補者の信頼獲得にもつながります。
採用は「全社のミッション」であるという認識が成果を左右します。
企業の魅力を発信・公開する
候補者にアプローチしても、「この会社はどんな魅力があるのか」が伝わらなければ応募にはつながりません。
自社のカルチャー・ビジョン・働き方・キャリアパスなどの魅力を積極的に発信することが重要です。
オウンドメディアや採用サイト、SNSなどで情報を更新し続けることで、候補者の企業理解が深まり、スカウトへの反応率も高まります。
関連記事:採用時に反社チェックが欠かせない理由とは?企業側のリスクと注意点も解説
柔軟な母集団形成
ダイレクトリクルーティングでは、ひとつのチャネルだけに依存せず、複数の手段を組み合わせた母集団形成が不可欠です。
SNS、スカウトサービス、イベント、リファラルなど、ターゲット層に応じてアプローチ方法を最適化しましょう。
また、転職潜在層を含む幅広い層にリーチできる施策を講じることも大切です。
ノウハウの蓄積と長期的視点を持つ
短期的な採用成果だけでなく、中長期的に活用できるノウハウの蓄積が重要です。
スカウト文面の効果検証、候補者の反応率、選考通過率などを記録・分析し、運用を継続的にブラッシュアップしていく必要があります。
長期的な採用力の強化には、PDCAを継続的に実行できる体制と、継続的な学習・改善の姿勢が欠かせません。
関連記事:バックグラウンドチェックはどこまで調査が必要なのか?採用ターゲット層に合わせた調査とは
まとめ
ダイレクトリクルーティングは、単なる採用手法の一つにとどまらず、企業の採用戦略そのものを進化させるアプローチです。
人材不足が深刻化する中で、企業自らが行動を起こし、潜在層を含む優秀な人材とつながることは、競争力の源泉となり得ます。
成功には、明確な目的設定と社内の一体感、そして自社の魅力を適切に伝える工夫が欠かせません。
中長期的な視点で取り組むことで、より強固な採用基盤が築かれるでしょう。
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