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IPO準備が大変な理由とは? 業績成長と内部統制のバランスについて解説

IPOは、さらなる事業拡大のための資金確保や、企業ブランドの向上、管理体制の強化を達成するために株式上場するという意味です。

年間100〜200の会社がIPO準備を行っていますが、想像している以上に業務量が多く、準備に関わる多くの社員が疲弊してしまい、退職してしまうリスクがあります。

また、最悪の場合、IPOが途中で頓挫したり、会社の経営が傾いてしまう可能性も十分に考えられます。
そのため、IPO準備には計画的な内部統制と業績を上手く連動させることが重要です。

今回は、「IPO準備に必要な業績成長と内部統制」のポイントを期間別に解説し、最後にIPOする際の注意点についても紹介していきます。


【参考】より深く知るための『オススメ』コラム

👉IPO準備企業における内部統制への対応方法とは 体制構築のステップも解説

👉反社チェック(コンプライアンスチェック)を無料で行う方法

👉IPO準備中にも影響する内部統制報告書とは J-SOXへの対応について解説

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目次[非表示]

  1. 1.IPO準備が大変な理由とは
    1. 1.1.IPOに必須な業績成長
    2. 1.2.IPOに必須な内部統制
  2. 2.IPO準備の具体的なスケジュールとは
    1. 2.1.IPO準備を始める前(直前々期以前)にやらなければならないこと
    2. 2.2.IPO準備開始後(直前々期)にやらなければならないこと
    3. 2.3.上場審査前(直前期・申請期)にやらなければならないこと
  3. 3.IPO準備企業に求められる反社会的勢力排除の体制構築とは
  4. 4.まとめ

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IPO準備が大変な理由とは

IPO準備が大変な理由とは

IPO準備を行う企業にも、さまざまな背景があります。

  • 会社設立数年でIPOを目指す企業
  • 創業からしばらく非上場だったが、事業成長のためにIPOを目指す企業
  • 親会社が上場企業で、単独でIPOを目指す企業

どんな企業でも共通することは、「IPO準備は、皆さんが想像している以上に大変な期間」ということです。

飲み会の席やセミナーで聞いた情報を使って上場できるくらいの難易度であれば、多くの企業が上場を達成しているはずです。

そのため、IPO達成には「業績の成長」と「内部統制」の2つが上手く連動することが大事となってきます。

IPOに必須な業績成長

IPOを達成するためには「業績」を伸ばし続ける必要があり、そのための資本政策※1をしっかりと計画することが重要となってきます。

資本政策の計画は、通常の業務ではないので「IPO準備」のチームを作る必要があり、内部管理を担当する責任者を用意することで、効率的にIPO準備を進めることができます。

IPO準備の初期期間は、ショートレビューで抽出した課題の消し込み、証券会社や監査法人の選定、膨大な書類の作成など、仕事量は非常に多いです。

特に「課題の消し込み」は、社内規程や労務管理、会計ルールなどさまざまな角度から修正依頼が飛び込んでくるため、作業量は膨大です。

そのため、IPO準備経験者や、CxO※2担当経験者を専属のチームメンバーとして招集する必要があります。

特に財務・経理部門を担当できる人物(CFO:最高財務責任者)はチームに必要です。
財務・経理は1ヶ所でも必要箇所を見落としてしまうと、大きな損害に繋がる可能性があるので、CFO以外にも1人以上専門のメンバーを入れるようにしましょう。

※1 資本政策:事業達成のための資金調達を計画すること
※2 CxO(Chief x Officer):「Chief:組織の責任者」「Officer:執行役」の頭文字をとった造語で、xの部分に代入することで、「CEO:最高経営責任者」「CMO:最高管理責任者」などの言葉になる。グローバル企業、外資系企業でよく使われる。

参考:IPO準備企業の経理に求められる役割とは 具体的に行う業務についても解

  IPO準備企業の経理に求められる役割とは 具体的に行う業務についても解説 自社の株式を公開し、誰でも自由に株の売買ができるようにするためのIPO。 IPOを実現するためには、上場会社としてふさわしい内部体制を構築し、厳しい審査基準をクリアしなければなりません。 数年単位の期間が必要なIPO準備ですが、IPO準備企業の経理にはどのような役割が求められるのでしょうか? 今回は、IPO準備における経理の重要性、経理部門で気をつけるべきポイント、IPO準備企業の経理として働くことのメリットなどについて紹介していきます。 RISK EYES


IPOに必須な内部統制

IPOを達成するためには、「内部統制」を整えることも重要です。

IPO準備は、証券会社からの指摘や、資本政策運用でのトラブルなど、さまざまな事象が発生する期間なので、残業が常態化したり、通常の業務が滞ってしまいます。

また、グループ会社であれば、グループの役員全員が同意しないと意思決定ができないことが多いため、次のステップに進むまでに、余計な時間がかかります。

労働環境が悪化すると、「理想とのギャップ」などの理由で、IPO準備のチームメンバーや他の社員が退職してしまうケースが多く、最悪の場合IPO準備が停止してしまう可能性に繋がります。

そのため、IPO準備専門のチームを作るのはもちろんですが、経営層は社員以外の委託先を視野に入れることも必要です。

単純な作業の場合、クラウドソーシングなどを使って、フリーランスや在宅パートの方に作業を任せたり、証券会社への対応やIPO準備に必要な資料の作成は、IPOコンサル会社に委託することも可能です。

財務・経理責任者と相談して、外注できる部分は委託先にお願いし、重要度の高い業務に集中しましょう。
また、IPO達成後も効率的に業務が進むように、DX※3を積極的に推進することも重要です

※3 DX:デジタルトランスフォーメーションの略。デジタルを活用し、ビジネスや組織の活動を効率的に推進する仕組みを作ること

参考:IPO準備企業における内部統制への対応方法とは 体制構築のステップも解説

  IPO準備企業における内部統制への対応方法とは 体制構築のステップも解説 IPO(上場)準備会社にとって、頭を悩ませるのが法令や上場規約などに設けられている社内体制の構築です。特に不可欠だとされている「内部統制」は、非上場時にはなかった体制を構築しなくてはならないケースも多く見られます。 そこで、上場に向けた内部統制の取り組みについて、問題となりがちな不明点を明らかにしていきます。 RISK EYES


IPO準備の具体的なスケジュールとは

IPO準備の具体的なスケジュールとは

IPO準備は、「直前々期以前(N-3期)」「直前々期(N-2期)」「直前期(N-1期)・申請期(N期)」の3つに分けられ、どの期間もIPOにとって重要なフェーズです。

また、IPO達成までに少なくとも3年前後の期間が必要だと言われており、計画的なスケジュール管理を行うことがIPO達成のポイントとなります。

特に、最初の段階である「直前々期以前」「直前々期」はIPO準備の土台となる期間ですので、このタイミングで内部統制や業績が連動していないと、大幅な修正に余計な時間と労力を使ってしまいます。

参考:IPO準備(上場準備)のスケジュールとは 直前々期以前から申請期までの対応事項を解説

  IPO準備のスケジュールとは 直前々期以前から申請期までの対応事項を解説 会社のIPO(上場)はさまざまなメリットがある一方、準備作業は多岐にわたり時間も必要です。 「IPOを考えているが、どのように準備を進めればいいか悩んでいる」という方も多いことでしょう。 今回はIPO準備のスケジュールを解説すると共に、直前々期以前から申請期までの時期ごとに必要な対応事項を解説していきます。 RISK EYES


IPO準備を始める前(直前々期以前)にやらなければならないこと

直前々期以前(N-3期)は、チームメンバーで以下4つの基礎的な部分を進めていく必要があります。

  • 監査法人・証券会社の選定
  • ショートレビュー※4
  • 内部管理統制の構築
  • 資本政策の決定

上記のような業務は通常の業務と異なる作業なので、適任な人材の確保と、専門のチームの結成が重要です。

特に経理、財務などの管理部門に強いCFO(最高財務責任者)やCHRO(最高人事責任者)、IPO準備経験者などの人材を確保し、想定外のトラブルにも迅速に対応できる体制を整えると、IPO準備の初期段階をスムーズに進めることができます。

人材の確保が重要となってきますので、IPO準備期間を経験できるということを転職者にアピールするのも1つの手段です。

※4 ショートレビュー:IPOを検討している会社に対し、監査法人または公認会計士が「経営状況」「内部管理」の状況を1週間前後で調査すること。
IPOには組織的な経営が必須となってくるので、ショートレビューは有効な手段となる。

関連記事:IPO準備の前段階? 自社の経営を上場基準に合わせる「ショートレビュー」とは

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IPO準備開始後(直前々期)にやらなければならないこと

直前々期(N-2期)は、直前々期以前の期間で決めた項目の整備など、以下5つの業務をメインに進める必要があります。

  • 内部管理制度(利益、業務、組織、会計など)の整備
  • 関係会社(業務委託、フリーランス契約など)の整備
  • 会計監査対応
  • 資本政策の実施
  • 内部統制報告制度(J-SOX)への対応※5

※5 内部統制報告制度(J-SOX):上場企業は財務諸表を作成し、内部統制の有効性を証明する必要がある

直前々期は上場審査前ということもあり、社内環境に大きな変化が起こる期間でもあります。
そのため、内部管理や関係会社の整備はもちろんですが、チームメンバー、社内の各事業部へのアプローチも行っていく必要があります。

IPO達成には、チームメンバーだけではなく各事業部の協力も必要不可欠です。
もし、アプローチを怠ってしまうと、従業員の退職や、事業部の反発により仕事が進まないなど、IPO準備の弊害となるようなことが起こってしまいます。

また、IPO達成後も会社を存続させていく必要があるため、経営層は各事業部へのフォローアップや、チームメンバーの増員など、従業員へのアプローチを継続して行うようにしましょう。

また、この時期から証券会社、監査法人とのミーティングや、資料提出作業が多くなります。
紙資料や散らばっているデータの整理整頓、PDF化などを積極的に推進していきましょう。

参考:IPO準備中にも影響する内部統制報告書とは J-SOXへの対応について解説

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上場審査前(直前期・申請期)にやらなければならないこと

直前期(N-1期)・申請期(N期)は、これまでの準備期間で決めた経営管理体制を運用したり、IPOに必要な申請書類の作成、証券会社による審査など、IPOに向けた本格的な作業に移っていきます。

  •  経営管理体制の運用
  • 証券会社・取引所向けの資料作成
  • 証券審査
  • 取引所審査

IPOするにあたり、チームメンバーだけではなく、社員全員に規定や管理などの概要を説明する必要があります。
そのため移行をスムーズに進める人材を確保しておくと効率的に進めることができます。

この時期になると証券会社や取引所の審査も入り始め、特に証券審査は、質問書や回答書、ヒアリングなどが長期間続くため、法務・財務・経理などの管理部門に特に負担が多いです。

直前々期に引き続き、経営層は従業員へのアプローチを継続して行い、上場後の内部管理や業績成長についても検討していくようにしましょう。

参考:上場準備の期間はどのくらい? IPOまでの流れとともに解説

  上場準備の期間はどのくらい? IPOまでの流れとともに解説 「スケジュールを見誤って上場準備が長引いてしまった!」 このようなことにならないためには、IPO準備の期間について理解しておく必要があります。 IPOは、さまざまな審査・監査を経てようやく申請できるものです。 上場準備についての期間を見誤ると、無駄な費用がかかるだけでなく従業員への負担も大きくなってしまいます。 今回は、上場の準備期間についてIPOまでの流れとともに解説していきます。 RISK EYES


IPO準備企業に求められる反社会的勢力排除の体制構築とは

IPO準備企業に求められる反社会的勢力排除の体制構築とは

IPO達成の際に注意することとして、「反社会的勢力の排除」が上げられます。
反社会的勢力は「暴力団構成員、準構成員及びそれに関わる企業や人物」のことを指し、2021時点で暴力団構成員1万3300人、準構成員は1万2700人の計2万5900人となっています。

引用:警察庁「組織犯罪対策に関する統計」

反社会的勢力に関わっている人物が企業に在籍していると、IPO達成が不可能なことはもちろん、企業の信頼度が下がってしまい、最悪の場合、倒産まで追い込まれる可能性があります。

そのため、IPO準備には、取引する企業や人物が反社会的勢力と関わっていないかを確認する「反社チェック」が重要です。

反社チェックツールは、新聞などの公的情報を集めたデータベースから、特定の人物や企業の情報を1件数百円で得ることができ、反社会的勢力との関係性を未然に防ぐことができます。
そのため、コストパフォーマンスが高いです。

工数のかかるIPO準備に余計な作業を発生させないためにも、反社チェックツールを活用するようにしましょう。

関連記事:IPO準備にはなぜ反社チェック(コンプライアンスチェック)が必要なのか? 上場基準の反社会的勢力排除の体制づくりについて解説

  IPO準備にはなぜ反社チェック(コンプライアンスチェック)が必要なのか? 反社会的勢力排除の体制づくりについて解説 IPO準備企業にとって落とし穴になりかねないのが「反社チェック」です。近年は暴力団排除条例などで暴力団構成員は減少傾向にありますが、その分だけ目立たないようにうまく社会に溶け込んでいます。 例えば、まったく関わりがないと思われるような企業も、裏では反社会的勢力と密接な関係だったり、社員の中に紛れていたりもします。 そうした企業と取引などがあると、上場審査の際に引っかかって、それまでの準備が水の泡になってしまうことがあります。 そのため、IPO準備企業は、必ず反社チェックを行わなければなりません。今回はその方法やポイントなどを紹介いたします。 RISK EYES


まとめ

IPO準備のフェーズによって必要な業務は異なりますが、監査法人・証券会社の選定から取引所審査までの一連の流れの大変さを中心に解説してきました。
IPO準備は少なくとも3年前後はかかる大変な期間ということがご理解いただけたと思います。

計画的なスケジュールでIPOを無事に成功させるためにも、フェーズごとの作業管理や人材確保を、計画的なスケジュールに沿って行いましょう。

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佐々木 雄輝
佐々木 雄輝
2022年にソーシャルワイヤー株式会社に入社。 反社チェックサービス『RISK EYES』のマーケティング施策の企画立案を担当。
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