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レピュテーションリスクとなりうる事例や回避方法を解説

近年、企業コンプライアンスの議論において、レピュテーションリスクという言葉を散見するようになりました。
レピュテーション(評判)のリスクとは、企業の悪い評判が世間に広まることによって、企業の信用や業績にダメージを与える危険性のことです。

「拡散」「炎上」という言葉が示すように、インターネットやSNSの普及によってこの危険性がこれまでになく増大していることは、誰もが実感するところです。

この記事では、企業活動においてレピュテーションリスクとなりうるのはどのような事態や行為なのかを事例をあげて解説します。
リスクを大きくする要因や、リスクの回避方法についても解説しているので、ぜひ参考にしてください。

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目次[非表示]

  1. 1.レピュテーションリスクとは?
    1. 1.1.レピュテーションリスクが顕在化する原因
  2. 2.レピュテーションリスクの種類と事例
    1. 2.1.製品・サービス
    2. 2.2.職場
    3. 2.3.ガバナンス
    4. 2.4.市民
    5. 2.5.リーダーシップ
    6. 2.6.革新
    7. 2.7.パフォーマンス
  3. 3.レピュテーションリスクの回避策
    1. 3.1.社内規程や業務マニュアルの整備
    2. 3.2.社内の監視・チェック体制の強化
    3. 3.3.違反者への制裁を明確にする
    4. 3.4.定期的な研修を行う
  4. 4.レピュテーションリスクの測定方法
    1. 4.1.報道情報やSNSの調査
    2. 4.2.従業員や顧客へのアンケート調査
  5. 5.レピュテーションリスクを事前に回避する反社チェック・コンプライアンスチェックとは
  6. 6.まとめ

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レピュテーションリスクとは?

レピュテーションリスクとは?

レピュテーションリスクとは、企業の悪い評判が広がることで、経営にマイナスの影響を及ぼすリスクです。
企業経営では、レピュテーション(評判)は「すべてのステークホルダーの中に形成される企業に対する認知」と定義されます。

顧客はもちろん、株主、取引先、地域住民などの企業に対する評判は、当然ながら企業の業績を大きく左右します。
とくに、インターネットやSNSが普及した現代は、悪評は「炎上」という形で急速に拡散されます。

レピュテーションリスクが顕在化する原因

レピュテーションリスクが現実となるもっとも大きな原因は「企業の実態と評判の落差」です。
商品やサービス、販売方法、従業員待遇などに問題を抱えているにもかかわらず、世間の評判が良い企業は、いわば爆弾を抱えているようなもので、何かのきっかけでレピュテーションリスクが顕在化します。

極端な例をあげると、持続可能な社会の実現を企業理念にうたっている企業が、環境汚染物質を不法投棄していたことが明るみに出ると、そのギャップの大きさによって大きく評判を損なうことになります。

レピュテーションリスクのマネジメントは、企業が法令をはじめとするコンプライアンスを守っていることが前提です。
つまり、存在する問題を表面化させないのがレピュテーションリスク・マネジメントではなく、リスクとなる問題をなくして企業コンプライアンスを向上させることが、レピュテーションリスク・マネジメントの根幹です。

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レピュテーションリスクの種類と事例

企業のレピュテーションに影響を与える出来事は、企業活動のどのような側面から生じるのでしょうか。
米国のコンサルティング会社Reputation Instituteがあげているのは、下記の7つの側面です。

  1. 製品・サービス
  2. 職場
  3. ガバナンス
  4. 市民
  5. リーダーシップ
  6. 革新
  7. パフォーマンス

それぞれがどのような内容かを、事例をあげて解説します。事例によっては複数の側面にまたがるものもあります。

製品・サービス

高品質で経済的な価値が高い製品・サービスを提供する企業だという評価、信頼を揺るがすのが、製品・サービスに関するレピュテーションリスクです。

過去には次のような事案が発生しています。

  • 食品の産地偽装
  • 賞味期限の書き換え
  • 品質検査データの書き換え
  • 建築基準法違反

「商品に嘘がある」「商品の安全性が担保されていない」という評判は、企業の存続をも危うくする重大なリスクとなります。

職場

良心的で優秀な従業員が働いており、企業は従業員を適切に処遇しているという評価、信頼を揺るがすのが、職場に関するレピュテーションリスクです。

過去には次のような事案が発生しています。

  • 従業員による企業秘密の漏洩
  • 反社会的勢力に属する従業員がいる
  • 過重労働
  • 正規雇用社員と非正規雇用社員の非合理的な待遇格差
  • 非合理な男女格差
  • バイトテロ

近年とくにリスクが顕在化する事例が多いのが、アルバイト店員による不適切な行動がSNSによって拡散される、いわゆるバイトテロです。
また、個人の性的指向に対する人権意識の拡大によって、LGBTQといわれる性的マイノリティに対する企業の処遇もレピュテーションリスクのひとつになっています。

ガバナンス

経営層が公正かつ誠実な姿勢でビジネスを行っているという評価、信頼を揺るがすのが、ガバナンスに関するレピュテーションリスクです。

過去には次のような事案が発生しています。

  • 脱税
  • 粉飾決算
  • 事故の隠蔽
  • 事故対応の遅れや失敗による被害の拡大
  • 行政機関に対する贈賄
  • 株式のインサイダー取引

ガバナンス(企業統治)はあらゆる企業行動の根幹なので、そこでレピュテーションリスクが顕在化すると、製品やサービスなどあらゆる面での信頼を揺るがすことになります。

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市民

工場や営業所がある地域社会や環境に配慮する企業だという評価、信頼を揺るがすのが、企業市民としてのあり方に関わるレピュテーションリスクです。

  • 近隣住民への騒音被害、環境汚染
  • 産業廃棄物の不法投棄
  • 故意または事故による有毒物質の漏出

最近では、道路沿いに店舗を構える中古車販売会社が、自社の看板が見えにくくなるという理由で、街路樹に除草剤をまいて枯れさせる事件が発生しました。

リーダーシップ

組織が健全で適切なリーダーシップによって運営されているという評価、信頼を揺るがすのが、リーダーシップに関わるレピュテーションリスクです。


過去には次のような事案が発生しています。

  • パワハラ
  • セクハラ
  • 不当解雇


強いリーダーシップの発揮とパワハラの境界線は一筋縄では解決しない難しいテーマです。
また、同じ行為がする人によって受け取られ方が異なるセクハラも対策が難しい問題です。
パワハラ、セクハラの非難を恐れるあまりリーダーシップが委縮することがないようなリスクマネジメントが必要とされます。

革新

過去の成功に安住せずに、新しい製品やサービスを開発している革新的な企業だという評価を揺るがすレピュテーションリスクです。

次のようなケースが実際に発生しています。

  • デジタル化に乗り遅れてライバル企業に差をつけられる
  • 過去のヒット商品にこだわって、新しい発想の新製品を作れない
  • 人材採用市場での評価が下がる(学生の人気がなくなる)

パフォーマンス

成長性があり、収益性が高い企業だという評価を揺るがすレピュテーションリスクです。
コンプライアンスに関わるリスクではありませんが、株主や取引先、採用候補者などのステークホルダーに企業の将来性に疑念を抱かれることになります。

  • 経済紙にマイナス評価の記事が掲載される
  • 業界誌に専門家から成長性について疑念が提出される

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レピュテーションリスクの回避策

レピュテーションリスクの回避策

レピュテーションリスクが顕在化するきっかけには下記のようなものがあります。

  • 内部告発
  • SNSでの拡散
  • 監督官庁による行政処分や行政指導
  • 警察による摘発
  • 週刊誌、テレビなどのマスコミ報道
  • 有識者による批判

上記は悪い評判がたつ理由がある場合ですが、下記のような事実無根の悪評もあり得ます。

  • フェイクニュースなど悪意のある名誉棄損
  • 誤解や理解不足から生じた風評

事実に基づく悪評を回避するには、当然ながら事実そのものの改善が必要です。
とはいえ、多岐にわたる企業活動のすべてを申し分なく整えるのは現実的ではなく、今すぐできることでもありません。
レピュテーションリスクを100%回避するのは困難ですが、実態と評判とのバランスを大きく崩さない誠実な企業経営がリスクを小さくします。

コンプライアンスの遵守を大前提として、リスクマネジメントに必要なのは、オープンな経営姿勢と時代が要求する人権意識への配慮です。
言い換えると、今の時代になにがコンプライアンスとして求められているかに、つねにキャッチアップすることが求められます。
上記を原則として、具体的には以下のような施策があります。

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社内規程や業務マニュアルの整備

従業員のコンプライアンス遵守は常識に属するものも少なくありませんが、常識や暗黙の了解だけに頼らずに、明文化できるものは明文化すべきです。
しかし経営状況によっては、営業目標と社内規程が矛盾するような場合もあり得ます。

ルールは単にルールとして示すだけでなく、企業理念に基づく行動規範として従業員に理解してもらうことが重要です。

社内の監視・チェック体制の強化

レピュテーションリスクは、〇〇さんの言うことには誰も逆らえないなど、絶対的な権力者の存在を許したときに最大化します。
取締役会においても、営業部や製造部などの各部署においても、そのような権力者が発生しないように留意するとともに、誰もが受けなければいけないチェックシステムが必要です。

また、上に対してものを言いにくい組織風土を改善するために、まず経営者からオープンな態度で従業員に接することも重要です。

違反者への制裁を明確にする

違反者は制裁を受けるというメッセージを明確に発信することにも効果があります。
社内規程には罰則規程も含まれているでしょうが、企業によってとくにダメージが大きいと思われるリスクに対しては、改めて注意を喚起することも必要です。

定期的な研修を行う

コンピテーションリスクは従業員にとって比較的新しい概念なので、その重大性や事例、リスク回避について研修し、定期的にブラッシュアップすることは重要です。

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レピュテーションリスクの測定方法

レピュテーションリスクの測定方法

レピュテーションリスクの測定とは、企業に対する評判の実態を調査することです。
評判を調査したうえで、改善すべき点があれば改善し、事実無根の風評に対しても対処を考えます。

企業に対する世間の評判を知らないこと、あるいは無頓着なこと自体が大きなレピュテーションリスクになります。

報道情報やSNSの調査

新聞や雑誌に頻繁に名前が登場する大企業なら、その内容を精査することでレピュテーションの実態を知ることが可能です。

中小企業なら、Google検索やSNSアプリ内で自社名をエゴサーチすることで、自社や自社製品・サービスについて生の声を聴くことができます。
誹謗・中傷の書込みに対しては削除を要求することも可能です。

従業員や顧客へのアンケート調査

顧客の声はマーケティングのみならず、レピュテーションリスク・マネジメントにおいても重要な情報源です。
メールアドレスが分かる顧客には改めて自社に対する評価のアンケートを依頼することもできます。

従業員や取引先に対するアンケートは忖度が入るので、必ずしも公平でオープンな評価は聞けませんが、遠慮がちな指摘の中に重大なレピュテーションリスクが潜んでいる場合があります。

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レピュテーションリスクを事前に回避する反社チェック・コンプライアンスチェックとは

レピュテーションリスクを事前に回避する反社チェック・コンプライアンスチェックとは

反社チェックとは、従業員や取引先、株主が反社会的勢力と関係がないかを事前にチェックすることをいいます。
従業員や取引先に暴力団や半グレなどの反社勢力に関係のある人物がいると、重大なレピュテーションリスクを抱えることになります。

従業員なら雇用契約の前に、取引先なら業務契約を結ぶ前にチェックするのが大切です。契約後に従業員や取引先が反社であることが判明すると、契約解除にはトラブルがともないがちです。

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まとめ

レピュテーションリスが顕在化すると、それまで信用があった企業ほどダメージが大きくなります。

  • テレビCMをしている会社なのに
  • 一部上場企業なのに
  • 教育事業をしている会社なのに
  • SDGsに取り組んでいると言っているのに
  • 歴史のある老舗企業なのに

このような評判が広がると、信用回復は容易ではありません。
企業の実態と評判に落差があるほどレピュテーションリスクは大きくなります。レピュテーションリスクを小さくするには、コンプライアンスを遵守する企業姿勢が根幹です。

過去にどのようなリスク顕在化の事例があったのかを研究して、自社にそのようなリスクがないかを検証するのも重要です。

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佐々木 雄輝
佐々木 雄輝
2022年にソーシャルワイヤー株式会社に入社。 反社チェックサービス『RISK EYES』のマーケティング施策の企画立案を担当。
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