
電子帳簿保存法とは?3つの区分・対象書類・2024年改正ポイントをわかりやすく解説
電子帳簿保存法は、国税関係帳簿や書類を電子データで保存する際のルールを定めた法律です。
1998年の施行以来、デジタル化の進展に合わせて改正が重ねられ、2024年には電子取引データの保存が完全義務化されました。
この記事では「電子帳簿等保存」「スキャナ保存」「電子取引データ保存」の3つの区分や対象書類、さらに2024年改正の重要ポイントをわかりやすく解説します。
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目次[非表示]
- 1.電子帳簿保存法とは
- 2.電子帳簿保存法の対象書類・対象外の書類
- 2.1.電子帳簿保存法の対象書類
- 2.1.1.電子帳簿等保存の対象帳簿・対象書類
- 2.1.2.スキャナ保存の対象書類
- 2.1.3.電子取引の対象書類
- 2.2.電子帳簿保存法の対象外となる書類
- 3.電子帳簿保存法に準じた電子データの保存要件
- 3.1.電子帳簿等保存の要件
- 3.2.スキャナ保存の要件
- 3.3.電子取引データ保存の要件
- 4.【要点】2024年の改正による電子帳簿保存法の変更点
- 5.電子データ保存を行う際の注意点
- 5.1.業務フローや社内体制を見直す
- 5.2.紙での一元管理は難しくなる
- 5.3.不正行為のペナルティに注意
- 6.まとめ
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電子帳簿保存法とは
電子帳簿保存法は、国税に関わる帳簿や証憑類を電子データとして保存する際のルールを定めた法律です。
1998年の施行以来、企業のデジタル化やIT環境の進展に合わせて何度も改正が行われてきました。
従来は紙での保存が基本でしたが、業務効率化やコスト削減の要望が高まったことから、電子保存が認められる仕組みが整備されています。
特に2024年の改正では、電子取引データの保存が完全義務化され、すべての事業者が対応しなければならない大きな転換点となりました。
この法律を理解するうえで重要なのが「3つの区分」です。
保存対象や方法によって大きく分けられており、それぞれに異なる要件や注意点があります。
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電子帳簿保存法を理解するうえで重要な「3つの区分」
電子帳簿保存法は以下の3つに分類されます。
- 電子帳簿等保存
- スキャナ保存
- 電子取引データ保存
これらは保存対象となる書類の種類や保存方法によって区分され、企業や個人事業主がどのように管理するかを判断する基準となります。
それぞれ詳しく解説します。
電子帳簿等保存
会計ソフトで作成した仕訳帳や総勘定元帳、請求書の控えなどを電子データのまま保存する方法です。
紙に出力する必要はなく、電子ファイルとして保管できます。
ただし、改ざん防止のために訂正・削除履歴が残る仕組みや検索機能の確保が必須です。
さらに税務署への事前届出が必要で、要件を満たした「優良帳簿」として認められると過少申告加算税の軽減措置などのメリットがあります。
導入すれば紙の帳簿を長期保管する必要がなくなり、業務効率化に大きく貢献します。
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スキャナ保存
紙で受け取った領収書や請求書、契約書などをスキャンして電子データ化し保存する方法です。
これにより紙の原本を保管する必要がなくなります。
ただし、貸借対照表や損益計算書などの決算書類は対象外です。
保存要件としては、受領後速やかにスキャンすること、解像度やカラー条件を満たすこと、タイムスタンプを付与することなどが求められます。
2024年改正ではタイムスタンプ付与の猶予期間が拡大され、検索要件も緩和され、中小企業でも導入しやすくなりました。
電子取引データ保存
メール添付のPDF請求書やクラウドサービスを通じて受け取った契約書など、電子的にやり取りした書類を電子ファイルとして保持する方法です。
これまでは猶予期間がありましたが、2024年から完全義務化され、紙に出力して保存することは認められなくなりました。
保存には改ざん防止措置や検索機能の確保が必要です。
すべての事業者に義務付けられているため、対応が遅れると税務調査で問題となる可能性があります。
クラウド会計ソフトや専用システムを導入することで効率的に管理できます。
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電子帳簿保存法の対象書類・対象外の書類
法律を正しく運用するためには、どの帳簿や書類が保存対象となるのかを理解することが不可欠です。
対象となるものは前述の「電子帳簿等保存」「スキャナ保存」「電子取引データ保存」の3区分に分けられ、それぞれ保存方法や要件が異なります。
一方で、対象外となる書類も存在するため注意が必要です。
電子帳簿保存法の対象書類
電子帳簿保存法の対象書類は、帳簿や取引に関する証憑類など、税務上重要な役割を果たすものです。
これらは保存区分ごとに対象範囲が定められており、電子データとして保存する際には要件を満たすことが求められます。
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電子帳簿等保存の対象帳簿・対象書類
仕訳帳、総勘定元帳、補助簿、請求書の控えなど、会計ソフトで作成した帳簿類が対象です。
保存には訂正・削除履歴の保持や検索機能の確保が求められ、税務調査時に迅速に提示できる状態である必要があります。
導入により紙の帳簿を長期間保管する負担が軽減されます。
スキャナ保存の対象書類
領収書、請求書、契約書、納品書など紙で受領した書類が対象です。
スキャン後は原本を廃棄しても問題ありません。
ただし、決算関係書類は対象外です。
保存要件として、速やかなスキャン、解像度・カラー条件の遵守、タイムスタンプ付与などがあります。
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電子取引の対象書類
電子的に授受した注文書、契約書、見積書、請求書、領収書、送り状などが対象です。
メール添付のPDFやクラウドサービスを通じたデータが該当します。
2024年改正により紙保存は認められず、電子データ保存が義務化されました。
保存には改ざん防止措置や検索機能の確保が必須です。
電子帳簿保存法の対象外となる書類
代表的なのは決算関係書類です。
貸借対照表や損益計算書などはスキャナ保存の対象外であり、紙で保存する必要があります。
また、税務署が保存不要と認める一部の書類も対象外です。
例えば、社内メモや参考資料など税務上の証拠力を持たないものは範囲外です。
対象外の書類を誤って電子保存のみで管理すると、税務調査で不備とされる可能性があるため注意が必要です。
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電子帳簿保存法に準じた電子データの保存要件
電子帳簿保存法では、帳簿や書類を電子データで保存する際に一定の要件を満たす必要があります。
これらの要件は、データの信頼性を確保し、税務調査時に正しく提示できるようにするために設けられています。
保存区分ごとに求められる条件が異なるため、自社の運用に合わせて理解しておくことが重要です。
電子帳簿等保存の要件
電子帳簿等保存では、会計ソフトなどで作成した仕訳帳や総勘定元帳をデータ形式のまま管理します。
その際には、訂正や削除の履歴が残る仕組みを備えること、また検索機能を確保することが必須です。
さらに、税務署への事前届出が必要であり、要件を満たした「優良帳簿」として認められると加算税の軽減措置などのメリットも得られます。
紙の帳簿を並行して保管する必要がなくなるため、業務効率化にもつながります。
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スキャナ保存の要件
スキャナ保存では、紙で受領した領収書や請求書をスキャンして電子データ化します。
要件としては、受領後速やかにスキャンすること、解像度やカラー要件を満たすこと、そしてタイムスタンプを付与することが挙げられます。
2024年改正により、タイムスタンプ付与の猶予期間が拡大し、検索要件も緩和されました。
これにより、中小企業でも導入しやすくなり、ペーパーレス化を進めやすい環境が整っています。
電子取引データ保存の要件
電子取引データ保存は、メール添付のPDF請求書やクラウドサービスを通じてやり取りした契約書などを対象とします。
2024年改正で紙保存が完全に廃止され、電子データのまま保存することが義務化されました。
保存要件としては、改ざん防止措置(タイムスタンプや訂正履歴の確保)、検索機能の整備が求められます。
すべての事業者が対応しなければならないため、クラウド会計ソフトや電子帳簿保存法対応システムの導入が現実的な選択肢となります。
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【要点】2024年の改正による電子帳簿保存法の変更点
電子帳簿保存法は、企業や個人事業主が税務関連の帳簿や書類を電子データで保存する際のルールを定めた法律です。
2024年の改正では、電子取引データの保存義務化やスキャナ保存要件の緩和など、実務に直結する大きな変更が行われました。
ここでは、特に重要な3つの改正ポイントを整理して解説します。
電子取引データ:紙保存要件の変更【重要】
これまで電子取引データについては、猶予期間が設けられ、紙に出力して保存することも認められていました。
しかし2024年改正により、この紙保存は完全に廃止され、電子データのまま保存することが義務化されました。
メール添付のPDF請求書やクラウドサービスを通じて受け取った契約書などは、必ず電子データとして保存しなければなりません。
改ざん防止措置や検索機能の確保が求められるため、システム導入や運用ルールの整備が不可欠です。
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スキャナ保存:タイムスタンプと検索要件の緩和
紙で受領した領収書や請求書をスキャンして保存する「スキャナ保存」については、要件が緩和されました。
従来は受領後すぐにタイムスタンプを付与する必要がありましたが、改正により猶予期間が拡大され、実務上の負担が軽減されています。
また、検索要件も簡素化され、従来よりも柔軟に運用できるようになりました。
これにより、中小企業や個人事業主でもスキャナ保存を導入しやすくなり、ペーパーレス化の推進が期待されています。
電子帳簿等保存:電子帳簿の利用で紙帳簿の7年間の保管が不要に
会計ソフトなどで作成した仕訳帳や総勘定元帳を電子データで保存する「電子帳簿等保存」についても改正がありました。
これまでは電子帳簿を利用していても、紙の帳簿を7年間保管する必要がありましたが、改正後は電子帳簿を正しく保存していれば紙帳簿の保管は不要となりました。
これにより、保管スペースや管理コストの削減が可能となり、管理負担を軽減できます。
関連記事:なぜコンプライアンスは厳しくなったのか?企業が直面するリスクと対応策を徹底解説
電子データ保存を行う際の注意点
電子帳簿保存法に基づいて電子データを保存する場合、単にシステムを導入するだけでは十分ではありません。
法律の要件を満たしつつ、業務の効率化やリスク回避を実現するためには、運用面での工夫や社内体制の整備が不可欠です。
ここでは、電子データ保存を行う際に特に注意すべきポイントを整理します。
業務フローや社内体制を見直す
電子データ保存を導入すると、従来の紙ベースの業務フローでは対応できない場面が出てきます。
例えば、領収書や請求書を受領した後にスキャンして保存する場合、誰がいつ処理するのか、どの部署が管理するのかを明確にしておく必要があります。
また、電子取引データの保存は義務化されているため、取引先とのデータ授受のルールや社内承認の流れも見直すことが求められます。
社内規程やマニュアルを整備し、担当者が迷わず対応できる体制を構築することが重要です。
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紙での一元管理は難しくなる
電子帳簿保存法に対応すると、紙と電子データが混在するケースが増えます。
例えば、取引先によっては紙の請求書を送付してくる場合もあり、電子取引データとスキャナ保存データを併用する必要があります。
このような状況では、紙だけで一元管理することは難しくなり、電子データを中心とした管理体制へ移行することが現実的です。
クラウド会計ソフトや電子保存対応システムを活用すれば、検索性や改ざん防止機能を備えた形で効率的に管理できます。
不正行為のペナルティに注意
電子データ保存は利便性が高い一方で、改ざんや不正行為が発覚した場合には厳しいペナルティが科されます。
例えば、保存要件を満たしていない場合や、意図的にデータを改ざんした場合には、青色申告の承認取消や加算税の対象となる可能性があります。
電子データは履歴が残るため、不正は容易に発見されます。
したがって、社内でのコンプライアンス教育やチェック体制を整え、正しく運用することが不可欠です。
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まとめ
電子帳簿保存法は、企業や個人事業主のデジタル化を推進する重要な法律です。
2024年改正により、電子取引データ保存が完全義務化され、スキャナ保存要件が緩和されました。
電子帳簿を正しく保存すれば紙帳簿の保管も不要となり、運用の合理化が期待できます。
一方で、保存要件を満たさない場合は罰則の対象となるため、システム導入や社内体制の整備が不可欠です。
今後はペーパーレス化を前提に、電子データ保存を正しく運用することが求められます。
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