
制裁リストとは?企業が確認すべき主な種類とチェック方法、取引時の注意点を解説
海外企業や外国人との取引では、相手先が経済制裁の対象となっていないかを確認することが重要です。
その際に利用されるのが「制裁リスト」です。ただし、制裁リストは国や機関によって異なり、名前が掲載されていないからといって必ずしもリスクがないとは限りません。
本記事では、主な制裁リストの種類やチェック方法、取引先調査で注意したいポイントを解説します。
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目次[非表示]
- 1.制裁リストとは?チェック方法の前に知っておきたい基本
- 2.制裁リストのチェック方法で知っておきたい主な種類
- 2.1.日本|財務省の経済制裁措置及び対象者リスト
- 2.2.国連|UN Security Council Consolidated List
- 2.3.米国|OFACのSDN Listなど
- 2.4.EU・英国の制裁リスト
- 3.取引先を確認する5つの手順
- 3.1.STEP1 取引内容と確認する制裁制度を整理する
- 3.2.STEP2 取引先の正確な情報を準備する
- 3.3.STEP3 対象となる制裁リストを検索する
- 3.4.STEP4 ヒットした対象が同一人物・同一法人か確認する
- 3.5.STEP5 検索結果と判断内容を記録する
- 4.制裁リストのチェック方法で注意したいポイント
- 5.制裁リストの確認とあわせて行いたい反社チェック
- 6.まとめ
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制裁リストとは?チェック方法の前に知っておきたい基本

制裁リストとは、政府や国際機関などが、経済制裁の対象として指定した個人・法人・団体などの情報をまとめたリストです。
経済制裁とは、国際社会の平和や安全の維持などを目的として、特定の国・地域・個人・団体などに対して行われる措置を指します。具体的には、対象者が保有する資金や財産の移転・使用などを制限する「資産凍結」や、送金規制、輸出入・取引の制限などがあります。
日本では、財務省が外国為替及び外国貿易法(外為法)に基づく資産凍結等の措置について、対象となる個人・団体などを公表しています。2026年9月10日時点でも、国連安全保障理事会決議に基づく措置や、米国・EUなどと協調して実施する措置などが掲載されています。
ここで押さえておきたいのは、世界共通の一つの制裁リストが存在するわけではないという点です。
日本、国連、米国、EU、英国などは、それぞれの法制度や政策に基づいて制裁を実施しています。そのため、同じ人物や企業が複数のリストに掲載される場合もあれば、特定の国・地域の制度でのみ対象となる場合もあります。
企業が取引先を調査する際は、「制裁リストを1つ確認すればよい」と考えるのではなく、取引地域や使用通貨、関係する国・地域などを踏まえて、必要な確認範囲を検討することが大切です。
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制裁リストのチェック方法で知っておきたい主な種類

制裁リストを確認する際は、取引に関係する国や地域に応じて複数の情報源を見る必要があります。
代表的なものとして、日本、国連、米国、EU、英国の制裁情報があります。
日本|財務省の経済制裁措置及び対象者リスト
日本では、財務省が外為法に基づく資産凍結等の措置と対象者を公開しています。
国連安全保障理事会決議に基づく措置のほか、国際平和のための国際的努力への寄与として、日本が他国と協調して実施している措置なども掲載されています。
国連|UN Security Council Consolidated List
国連安全保障理事会は、「United Nations Security Council Consolidated List」を公開しています。
このリストには、各制裁制度の対象となっている個人・団体がまとめられています。
ただし、国連は、すべての掲載者が同じ制度や基準に基づいて指定されているわけではなく、対象となる制裁制度ごとに具体的な措置が異なると説明しています。2026年9月4日時点のリストでは736個人、275の団体等が掲載されています。
〈出典〉United Nations Security Council「Consolidated List」
米国|OFACのSDN Listなど
米国では、米国財務省外国資産管理局(OFAC)が複数の制裁リストを管理しています。
代表的なものが「SDN List(Specially Designated Nationals and Blocked Persons List)」で、制裁対象となる個人・法人・団体などが掲載されています。ただし、OFACはSDN List以外にも複数のリストを運用しているため、「OFACを確認する=SDN Listだけを見る」とは限りません。
OFACのSanctions List Searchでは、SDN Listを含む複数の制裁リストを検索できます。また、名前については完全一致だけでなく、文字列や発音が似た名称を候補として探す「ファジー検索」にも対応しています。(外国資産管理局)
〈出典〉OFAC「How to Search OFAC's Sanctions Lists」
EU・英国の制裁リスト
EUでは、欧州委員会がEUの金融制裁対象となる個人・団体などをまとめたConsolidated Listを案内しています。EUには国連安全保障理事会に基づくものだけでなく、EU独自の制裁制度もあり、40を超える制裁制度が運用されています。
英国では「UK Sanctions List」が、制裁対象となる個人、企業、組織、船舶などの情報源となっています。2026年1月28日に旧OFSI Consolidated Listの更新が終了し、現在はUK Sanctions Listが英国のすべての制裁指定に関する唯一のリストとなっています。
〈出典〉European Commission「Overview of sanctions and related resources」
〈出典〉GOV.UK「The UK Sanctions List」
取引先を確認する5つの手順

STEP1 取引内容と確認する制裁制度を整理する
まず、取引先の所在国や取引地域、使用する通貨、利用する金融機関などを整理します。
そのうえで、日本の制裁情報だけを見るのか、米国・EU・英国などの制度まで確認する必要があるのかを検討します。
すべての取引で同じリストを確認するのではなく、自社の事業内容や取引リスクに応じて範囲を定めることが大切です。
STEP2 取引先の正確な情報を準備する
法人の場合は、正式な法人名、英語・現地語表記、所在地、法人登録番号などを整理します。
個人であれば、氏名だけでなく、生年月日や国籍、住所、パスポート情報などが照合に役立つ場合があります。
特に海外企業や外国人では、英語表記・現地語表記・別名など複数の名称が使われることがあるため、可能な範囲で情報をそろえておきます。
STEP3 対象となる制裁リストを検索する
準備した法人名や人名を使って、必要な制裁リストを検索します。
名称の表記が完全に一致しないケースもあるため、公式検索ツールにファジー検索などの機能が用意されている場合は活用するとよいでしょう。OFACのSanctions List Searchでは、名称について文字列や発音の類似性を利用した検索が行えます。
STEP4 ヒットした対象が同一人物・同一法人か確認する
検索結果に同じ名前や似た名称が表示されても、それだけで「制裁対象」と判断するのは適切ではありません。
OFACも、制裁リストの候補が実際の対象者と一致するかを判断する際は、名前だけでなく、国籍、生年月日、住所、登録情報など、利用できる識別情報を照らし合わせることを案内しています。
検索結果には表示されたものの、詳しく照合すると別人・別法人だったというケースもあるため、追加情報を使って対象を絞り込みます。
STEP5 検索結果と判断内容を記録する
制裁リストの確認では、検索結果だけでなく、
いつ確認したか
どのリストを確認したか
どの名称・情報で照合したか
ヒットした情報をどのように判断したか
まで記録しておくと、後から取引判断の経緯を確認しやすくなります。
関連記事:企業コンプライアンス強化のために必要な法人の本人確認とは
制裁リストのチェック方法で注意したいポイント

制裁リストを検索して「該当なし」と表示されても、それだけで取引上のリスクがないと判断するのは適切ではありません。
制裁リストの確認では、名称の表記や更新状況だけでなく、取引先の所有関係まで確認が必要になるケースがあります。
同姓同名や表記ゆれだけで判断しない
制裁リストでは、氏名や法人名について複数の別名や非ラテン文字表記などが登録されている場合があります。
一方で、同じ名前やよく似た法人名を持つ別の対象が検索結果に表示されることもあります。
そのため、名前の一致だけで判断せず、所在地、生年月日、国籍、登録番号などの識別情報を組み合わせて確認することが大切です。
制裁リストは随時更新される
制裁対象者は、新たに追加されたり、登録内容が変更されたり、リストから削除されたりします。
国連のConsolidated Listでも、2026年7月・8月などに複数の追加・修正が行われており、現在のリストは2026年9月4日更新版です。
そのため、過去に「該当なし」と確認した取引先でも、現在も同じ結果とは限りません。
取引開始時だけでなく、取引期間や重要度、自社のルールに応じて再確認する仕組みを設けることも検討しましょう。
リストに名前がなくても制裁対象になる場合がある
ここは、制裁リストを確認するうえで特に注意したいポイントです。
米国OFACの「50 Percent Rule」では、一人または複数の制裁対象者が、直接または間接に合計50%以上所有する法人について、法人名そのものがSDN Listに掲載されていなくても、原則として資産がブロックされた法人として扱われます。
例えば、制裁対象者Aが25%、制裁対象者Bが25%を所有している法人は、両者の所有割合を合計して50%となるため、50 Percent Ruleの対象となります。
また、別の法人を介した間接所有も対象となる場合があります。OFACは、潜在的な取引を検討する際には、取引当事者などについて適切な事前調査を行い、関連する所有割合を確認するよう案内しています。
ただし、OFACの50 Percent Ruleと、日本の実質的支配者(UBO)の50%超・25%超という判断基準は別の制度です。
同じ「50%」という数字が登場しますが、目的や判定方法を混同しないよう注意しましょう。
関連記事:安心して取引先するために、企業調査・リスク管理を見直そう
関連記事:実質的支配者(UBO)とは?確認方法と判断基準、取引先調査の注意点を解説
制裁リストの確認とあわせて行いたい反社チェック
制裁リストに取引先の名前がなかったとしても、それだけで「リスクのない取引先」と判断できるわけではありません。
制裁リストは、各国政府や国際機関などが定める制度に基づき、制裁対象となる個人・法人・団体などを確認するためのものです。
一方、企業が取引先のリスクを判断する際には、制裁情報以外にも、
反社会的勢力との関係
犯罪・不祥事
行政処分
ネガティブな報道
などを調べる場合があります。
つまり、「制裁リストに該当しない」ことと「取引上の懸念がない」ことは同じではありません。
特に海外取引では、日本語だけでは十分な情報を得にくかったり、国内の反社チェックとは別に海外の制裁情報を確認する必要があったりするため、調査対象や情報源が増えやすくなります。
制裁リストと反社チェックを効率的に確認するには
反社チェックサービス「RISK EYES」では、政府・国際機関の制裁リストを検索でき、海外企業や外国人との取引時のデューデリジェンスにも活用できます。
また、ダウ・ジョーンズのリスク&コンプライアンス情報を利用した検索にも対応しており、海外の制裁情報や、政治的に重要な公的地位にある人物等を指すPEPsなどのグローバルなリスク情報も確認できます。(※ダウ・ジョーンズは、オプション機能でのご提供となります。)
制裁リストと国内の反社・ネガティブ情報をそれぞれ別の方法で調べている場合、検索や結果確認、証跡管理にかかる負担が大きくなります。
複数の情報源をまとめて確認できる仕組みを活用することで、取引先調査の効率化や、担当者ごとの確認方法のばらつきを抑えることにつながります。
関連記事:海外企業や外国人への反社チェックは必要?
まとめ
制裁リストとは、政府や国際機関などが経済制裁の対象として指定した個人・法人・団体などの情報を確認するためのリストです。
日本の財務省をはじめ、国連、米国OFAC、EU、英国などが、それぞれの制度に基づいて制裁対象に関する情報を公開しています。
取引先を調べる際は、法人名や人名を検索するだけでなく、英語・現地語表記や別名、所在地、生年月日、法人登録情報なども照らし合わせ、検索結果が本当に調査対象と一致しているかを確認することが大切です。
また、制裁リストは継続的に更新されます。過去に問題がなかった取引先でも、後から制裁対象となる可能性があるため、取引内容や自社のリスク基準に応じて再確認することも検討しましょう。
さらに、OFACの50 Percent Ruleのように、法人名がリストに掲載されていなくても、制裁対象者による所有関係によって規制対象となるケースがあります。
そのため、単純な名称検索だけではなく、必要に応じて取引先の所有・支配関係まで確認する視点も重要です。
一方、制裁情報は取引先リスクを判断するための情報の一つにすぎません。反社会的勢力との関係、犯罪・不祥事、行政処分なども含め、自社の取引内容に応じた確認体制を整えていきましょう。











