
マネーロンダリングとは?仕組み・事例・企業が取るべき対策まで徹底解説
マネーロンダリング(資金洗浄)は、犯罪によって得た資金の出所を隠し、あたかも合法的に得た資金であるかのように見せかける行為です。
近年は国際的な犯罪組織の資金源として利用されるだけでなく、企業や担当者が知らぬ間に巻き込まれるケースも増えています。
この記事では、マネーロンダリングの仕組みや具体的な事例、企業が取るべき対策までを徹底解説します。
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目次[非表示]
- 1.マネーロンダリング(資金洗浄)とは
- 2.マネーロンダリングの「前提犯罪」と「犯罪収益」とは
- 3.マネーロンダリングの事例
- 3.1.特殊詐欺事件に係る犯罪収益等隠匿
- 3.2.インターネットを利用した詐欺事件に係る犯罪収益等隠匿
- 3.3.窃盗事件に係る犯罪収益等収受
- 3.4.銀行法違反事件に係る犯罪収益等隠匿
- 3.5.著作権法違反事件に係る犯罪収益等収受
- 4.マネーロンダリングによる企業への影響
- 4.1.法的制裁
- 4.2.企業の評判低下と顧客離れ
- 4.3.コンプライアンス違反による業務停止・高額な罰金
- 5.企業が取るべきマネーロンダリング防止策
- 5.1.KYC(顧客の本人確認)をする
- 5.2.デューデリジェンス(取引先調査)を徹底する
- 5.3.疑わしい取引の報告を義務付ける
- 5.4.社内教育と意識向上を図る
- 5.5.内部監査とリスク管理を行う
- 5.6.マニュアルの整備をする
- 6.まとめ
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マネーロンダリング(資金洗浄)とは
マネーロンダリングとは、犯罪によって得た資金の出所を隠し、合法的な収益に見せかける行為を指します。
資金の流れを複雑化させることで、捜査機関が追跡できないようにするのが目的です。
犯罪組織が活動を継続するための資金源となるため、国際的にも重大な問題として扱われています。
近年はオンライン取引や暗号資産の普及により、手口が巧妙化している点が特徴です。
マネーロンダリングの仕組みと手法
マネーロンダリングは一般的に「プレースメント」「レイヤリング」「インテグレーション」という三つの段階で構成されます。
まず、犯罪で得た資金を金融機関や店舗に紛れ込ませるのがプレースメントです。
次に、複数の口座間送金や海外送金、暗号資産への交換などを通じて資金の流れを複雑化させるレイヤリングが行われます。
最後に、不動産購入や投資などを通じて資金を合法的な収益として経済活動に戻すインテグレーションが行われます。
これらの工程を経ることで、資金の出所が分かりにくくなります。
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マネーロンダリングとビジネスの関連性
企業は、意図せずマネーロンダリングに巻き込まれるリスクを抱えています。
特に、金融機関や不動産業、オンラインサービスなどは、犯罪者に悪用されやすい業種です。
不自然な取引や不透明な資金の流れを見逃すと、企業自身が法的責任を問われる可能性があります。
また、一度関与が発覚すれば信用失墜につながり、取引停止や顧客離れといった深刻な影響を受けることもあります。
そのため、企業側には適切な管理体制の構築が求められています。
関連記事:コンプライアンスとガバナンスとは?意味の違いと企業が行うべき取り組みを解説
マネーロンダリングの「前提犯罪」と「犯罪収益」とは
マネーロンダリングは、単独で成立する行為ではなく、必ず「前提犯罪」と呼ばれる違法行為が存在します。
前提犯罪によって得られた金銭や資産が「犯罪収益」であり、これを隠すためにマネーロンダリングが行われます。
犯罪収益は現金だけでなく、不動産、貴金属、デジタル資産など多様化しており、企業が知らぬ間に関与してしまうリスクも高まっています。
前提犯罪の種類が広範囲に及ぶため、企業は取引の背景を正確に把握する姿勢が求められます。
脱税・詐欺
脱税や詐欺は、最も一般的な前提犯罪です。
脱税では、隠した所得を正当な資金に見せかけるために複雑な送金や名義借りが行われます。
詐欺の場合、被害者から騙し取った金銭を複数の口座に分散したり、現金化して第三者に渡したりすることで、資金の出所を追跡しにくくします。
特殊詐欺や投資詐欺など、近年の手口は巧妙化しており、オンラインサービスを悪用したマネーロンダリングも増加しています。
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その他の前提犯罪
前提犯罪は脱税や詐欺に限られず、麻薬取引、人身売買、窃盗、著作権侵害など多岐にわたります。
これらの犯罪で得た利益は、転売や海外送金、暗号資産への交換などを通じて合法的な収益に偽装されます。
特に国際的な犯罪組織は、複数国をまたぐ資金移動を行うため、企業側のチェック体制が不十分だと巻き込まれる危険性があります。
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マネーロンダリングの事例
マネーロンダリングは、特定の犯罪に限らず、さまざまな違法行為と結びついて発生します。
ここでは、実際に摘発されたケースをもとに、どのような手口で資金が隠されていたのかを紹介します。
犯罪者は資金の流れを複雑にし、出所を追跡できないようにするため、複数の人物や口座を介在させることが一般的です。
企業や個人が知らぬ間に巻き込まれる可能性もあるため、具体的な事例を理解しておくことはリスク対策の第一歩となります。
特殊詐欺事件に係る犯罪収益等隠匿
特殊詐欺では、被害者から騙し取った金銭を迅速に移動させるため、複数の口座や現金受け渡し役が利用されます。
いわゆる「受け子」「出し子」と呼ばれる役割が組織的に配置され、資金を細かく分散させることで追跡を困難にします。
現金化した後は、別の人物に渡され、さらに別の口座へ送金されるなど、資金の流れが複雑化していきます。
このような仕組みが、特殊詐欺のマネーロンダリングを支える構造となっています。
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インターネットを利用した詐欺事件に係る犯罪収益等隠匿
ネットショッピング詐欺や投資詐欺など、オンラインを悪用した犯罪では、暗号資産が資マネーロンダリングの手段として使われるケースが増えています。
暗号資産は匿名性が高く、海外の取引所を経由することで資金の追跡が難しくなるため、犯罪者にとって都合の良いツールとなっています。
また、プリペイドカードや電子マネーを利用して資金を移動させる手口も見られ、デジタル技術の進化が犯罪の巧妙化を後押ししています。
窃盗事件に係る犯罪収益等収受
窃盗事件では、盗んだ物品を転売し、その売却益を合法的な収入として偽装する手法が一般的です。
フリマアプリやネットオークションの普及により、個人でも簡単に販売できる環境が整ったことで、犯罪収益の隠匿が容易になっています。
転売後の資金は複数の口座に分散され、最終的には生活費や投資に利用されるなど、正当な収入と見分けがつきにくくなります。
銀行法違反事件に係る犯罪収益等隠匿
無登録で資金移動業を行い、犯罪組織の資金を海外に送金する事例も存在します。
これらは銀行法違反に該当し、マネーロンダリングの温床となるため厳しく取り締まられています。
違法な送金サービスは、正規の金融機関を経由しないため、資金の流れが把握しづらく、犯罪収益の隠匿に利用されやすい点が問題です。
著作権法違反事件に係る犯罪収益等収受
海賊版サイトの広告収入や違法コピー品の販売で得た利益も、マネーロンダリングの対象となります。
これらの収益は複数の口座に分散されたり、海外の決済サービスを経由したりすることで、正規のビジネス収益に見せかけられます。
デジタルコンテンツの流通が容易になったことで、著作権侵害とマネーロンダリングが結びつくケースは増加傾向にあります。
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マネーロンダリングによる企業への影響
マネーロンダリングは犯罪組織の資金源となるだけでなく、企業にとっても深刻なリスクをもたらします。
企業が意図せず関与してしまった場合でも、管理体制の不備が指摘されれば責任を問われる可能性があります。
特に金融機関や海外取引の多い企業は、資金の流れが複雑になりやすく、犯罪収益が紛れ込む危険性が高まります。
マネーロンダリングに巻き込まれると、法的な問題だけでなく、企業の信用や事業継続にも大きな影響が及ぶため、日頃からの対策が欠かせません。
法的制裁
企業が犯罪収益移転防止法などの関連法令に違反した場合、行政処分や罰金、業務改善命令などの制裁を受ける可能性があります。
重大な違反が認められれば、刑事責任が問われるケースもあります。
たとえ故意でなくても、「適切なチェック体制が整っていなかった」と判断されれば処分の対象となるため、内部管理の強化は必須です。
特に金融機関では、疑わしい取引の届出義務が課されており、対応を怠ると厳しい措置が取られることがあります。
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企業の評判低下と顧客離れ
マネーロンダリングに関与した企業は、社会的信用を大きく損ないます。
ニュースやSNSで情報が拡散すれば、企業イメージは急速に悪化し、取引先からの信頼も揺らぎます。
ブランド価値の低下は顧客離れにつながり、売上減少や契約解除といった経営面のダメージが避けられません。
一度失った信用を取り戻すには長い時間とコストが必要であり、企業にとって大きな痛手となります。
コンプライアンス違反による業務停止・高額な罰金
コンプライアンス違反が発覚すると、業務停止命令や高額な罰金が科されることがあります。
特に国際的な金融機関では、海外当局から巨額の制裁金を課される事例も珍しくありません。
業務停止は顧客対応や取引に大きな支障をきたし、企業の競争力を大きく損ないます。
こうしたリスクを避けるためにも、日常的な監査やリスク管理の徹底が求められます。
関連記事:コンプライアンス違反の処分とは?企業・社員への処分の内容と対策方法を紹介
企業が取るべきマネーロンダリング防止策
マネーロンダリングは企業の信用を大きく揺るがす重大なリスクです。
犯罪組織に利用されないためには、日常的な管理体制の強化が欠かせません。
特に金融機関だけでなく、オンラインサービスや海外取引を行う企業も対象となるため、業種を問わず対策が求められています。
ここでは、企業が実践すべき主要な防止策を紹介します。
KYC(顧客の本人確認)をする
KYC(Know Your Customer)は、顧客の身元や取引目的を確認するプロセスです。
本人確認書類の提出だけでなく、取引の背景や資金の出所を把握することが重要です。
特にオンライン取引では、本人確認の厳格化が犯罪防止に直結します。
KYCを適切に行うことで、不正な取引を事前に排除し、企業のリスクを大幅に減らすことができます。
関連記事:企業コンプライアンス強化のために必要な「法人の本人確認」とは
デューデリジェンス(取引先調査)を徹底する
取引先の信用調査は、マネーロンダリング対策の基盤となる取り組みです。
企業の実態、経営者の背景、反社会的勢力との関係の有無などを確認し、リスクの高い相手との取引を避けることが求められます。
海外企業との取引では、現地の規制や法制度も調査対象となり、より慎重な判断が必要です。
デューデリジェンスを徹底することで、企業は不正な資金の流入を未然に防ぐことができます。
疑わしい取引の報告を義務付ける
従業員が不自然な取引を発見した際に、迅速に社内で共有できる仕組みを整えることが重要です。
金融機関では「疑わしい取引の届出」が法的に義務付けられていますが、その他の業種でも内部通報制度を設けることで、不正の早期発見につながります。
報告しやすい環境を整えることが、企業全体のリスク管理を強化する鍵となります。
関連記事:デューデリジェンスとは?種類・目的・費用・注意点まで徹底解説
社内教育と意識向上を図る
マネーロンダリング対策は、担当部署だけでなく全社員が理解しておくべき内容です。
定期的な研修やeラーニングを通じて、最新の手口や法令を共有し、従業員の意識を高めることが求められます。
現場で働く社員がリスクに気づけるようになることで、不正の芽を早期に摘むことが可能になります。
内部監査とリスク管理を行う
内部監査は、企業の管理体制が適切に機能しているかを確認する重要なプロセスです。
取引の透明性や記録の正確性を定期的にチェックし、問題点があれば迅速に改善します。
また、リスク管理部門と連携し、業務フローの見直しや新たなリスクへの対応策を検討することも欠かせません。
関連記事:IPO準備企業にはなぜ監査法人が必要?必要な理由と選び方について解説
マニュアルの整備をする
マネーロンダリング防止のための社内規程や手順書を整備し、従業員が迷わず対応できる環境を作ることが重要です。
マニュアルは実務に即した内容である必要があり、法改正や業務内容の変化に合わせて定期的に更新することが求められます。
明確なルールがあることで、組織全体の対応力が向上します。
まとめ
マネーロンダリングは、企業にとって重大なリスクをもたらす問題です。
犯罪組織の資金源となるだけでなく、企業自身が法的制裁や信用失墜の危険にさらされます。
そのため、KYCやデューデリジェンス、内部監査などの対策を日常的に行い、組織全体でリスク管理を徹底することが不可欠です。
マネーロンダリング対策は「やっているつもり」では不十分であり、実効性のある仕組みづくりが求められています。
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