
BCP(事業継続計画)とは?基礎から策定ステップ・最新トレンドまで徹底解説
BCP(事業継続計画)は、災害やサイバー攻撃、感染症、地政学リスクなどの緊急事態が発生した際に、重要業務を継続または早期復旧するための計画です。
事業継続力を高めることは、損失の抑制だけでなく、従業員の安全確保や取引先からの信頼維持にもつながります。
この記事では、BCPの基礎知識、策定ステップ、近年重視される対策について、管理部門や経営層に役立つ視点から分かりやすく解説します。
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目次[非表示]
- 1.BCP(事業継続計画)とは?
- 1.1.BCPの定義と目的
- 1.2.BCPが求められる背景
- 2.BCPが企業にもたらす効果
- 3.BCPに盛り込むべき主要項目
- 3.1.重要業務の特定と優先順位付け
- 3.2.代替手段・バックアップ体制の構築
- 3.3.緊急時の指揮命令系統と情報伝達ルール
- 3.4.外部委託先・サプライチェーンのリスク評価
- 3.4.1.取引先依存度の可視化とリスク分散
- 3.5.定期的な訓練・見直しの重要性
- 4.BCP策定のステップ:ゼロから始める実践プロセス
- 5.近年のリスクを踏まえたBCP強化のポイント
- 6.中小企業でも取り組めるBCPのポイント
- 6.1.コストを抑えたBCP導入の工夫
- 7.BCP策定を効率化する方法
- 7.1.テンプレートの活用
- 7.2.外部専門家・ツールの活用
- 8.まとめ
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BCP(事業継続計画)とは?
BCP(Business Continuity Plan/事業継続計画)は、自然災害やサイバー攻撃などの不測の事態が発生しても、重要な事業を中断させない、または中断した場合に可能な限り早く復旧するための方針・体制・手順などを定めた計画です。
BCPを整備することで、事業停止による損失の抑制、従業員の安全確保、顧客や取引先への影響の軽減が期待できます。
経営層の関与のもと、総務・法務・人事などの管理部門と各事業部門、IT部門などが連携し、平時から体制を整えることが重要です。
BCPの定義と目的
BCPは、緊急時にも優先して継続・復旧すべき業務と、そのための対応方法を定める計画です。
主な目的として、以下が挙げられます。
- 重要業務の中断回避または中断期間の短縮
- 人的・物的被害の軽減
- 顧客や取引先への影響の抑制
- 復旧に向けた判断と行動の迅速化
企業間の取引関係が複雑化するなか、自社の拠点や設備に対する災害対策だけでなく、委託先や仕入先を含むサプライチェーン全体の継続性を考える必要があります。
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BCM(事業継続マネジメント)・BCS(事業継続戦略)との違い
BCPは「計画書」であり、BCM(Business Continuity Management)はその計画を継続的に運用・改善する「管理プロセス」です。
BCS(Business Continuity Strategy)は、事業継続のために企業が採用する「戦略・方針」を指します。
つまり、BCSで方向性を定め、BCPで具体的な行動を策定し、BCMで運用・改善するという階層構造になっています。
BCPが求められる背景
企業を取り巻くリスクは多様化しています。
地震や豪雨などの自然災害に加え、感染症、サイバー攻撃、システム障害、サプライチェーンの途絶、地政学的な変化など、事業中断につながる要因を幅広く想定しなければなりません。
また、業界や取引内容によっては、BCPの整備状況が取引先の選定や取引継続に関する確認項目となる場合もあります。
このため、BCPは緊急時への備えだけでなく、企業の事業継続力や信頼性を示す取り組みとしても重要です。
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BCPが企業にもたらす効果
BCPの整備は、災害対策だけでなく、事業停止リスクの低減や取引継続性の確保にも役立ちます。
顧客、取引先、従業員への影響をあらかじめ想定し、対応方法を明確にすることで、組織全体のレジリエンス向上につながります。
事業停止による損失を最小限に抑える
自然災害やシステム障害が発生した際、重要業務の優先順位や復旧手順が決まっていなければ、判断の遅れや対応の混乱が生じる可能性があります。
受注処理、顧客対応、製品・サービスの提供、基幹システムの維持など、優先して継続・復旧すべき業務を事前に特定しておけば、限られた人員や設備を重要な業務に集中できます。
その結果、売上機会の喪失や契約上の義務を果たせなくなるリスクの低減が期待できます。
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顧客・取引先からの信頼向上
取引先にとって、自社のサプライチェーンや委託業務が緊急時にも維持されるかどうかは重要な関心事です。
BCPを整備し、緊急時の対応方針や復旧体制を説明できる企業は、取引先に対して事業継続への姿勢を示せます。
BCPの実効性を継続的に確認することは、顧客や取引先との信頼関係を維持するうえでも有効です。
従業員の安全確保と組織のレジリエンス強化
事業を継続するには、まず従業員の安全を確保する必要があります。
避難方法、安否確認の手順、出社可否の判断基準、連絡手段などを定めておけば、緊急時の混乱を抑えやすくなります。
従業員の安全を確保したうえで、代替要員や勤務場所、業務の優先順位を整理することで、組織としての復旧力を高められます。
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BCPに盛り込むべき主要項目
BCPには、緊急時に重要業務を継続・復旧するための具体的な方針や手順を盛り込みます。
企業の業種や規模によって内容は異なりますが、重要業務、代替手段、指揮命令系統、サプライチェーン、教育・訓練などは共通して検討すべき項目です。
ここでは、完成したBCPに盛り込んでおきたい主な項目を解説します。
具体的な策定手順については、後ほど「BCP策定のステップ」で紹介します。
重要業務の特定と優先順位付け
BCP策定では優先して継続・復旧すべき重要業務を特定することが重要です。
売上に直結する業務だけでなく、受注処理、顧客対応、基幹システムの維持、法令上必要な対応など、停止した場合の影響が大きい業務を洗い出します。
そのうえで、事業中断による影響を分析し、どの程度の中断まで許容できるかを検討します。
目標復旧時間(RTO)や目標復旧レベルを設定し、優先順位を明確にしましょう。
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代替手段・バックアップ体制の構築
重要業務が停止した場合に備えて、次のような代替手段を準備します。
- 代替拠点や在宅勤務体制の確保
- データのバックアップと復旧手順の整備
- 予備のPC、通信回線、電源などの確保
- 業務を担当できる代替要員の育成
- 手作業や別システムによる暫定的な業務手順の作成
クラウドサービスは、拠点が利用できない場合のデータアクセスや業務再開を支える選択肢の一つです。
ただし、クラウドサービスや通信回線自体が停止する可能性もあります。
サービス障害やランサムウェア被害を想定し、バックアップを本番環境から分離するなど、復旧可能性を考慮した設計が必要です。
緊急時の指揮命令系統と情報伝達ルール
緊急時には、通常の意思決定プロセスが機能しない可能性があります。
対策本部の責任者、各部門の役割、BCPを発動する条件、経営層へ報告する手順などを事前に定めておきましょう。
また、メール、チャットツール、電話、安否確認システムなど、複数の連絡手段を確保することも重要です。
連絡先だけでなく、誰が、誰に、どのタイミングで、どの情報を伝えるかまで具体化すると、緊急時に活用しやすくなります。
関連記事:レピュテーションリスクを管理する方法は?リスクが顕在化する原因や企業に与える影響も解説
外部委託先・サプライチェーンのリスク評価
BCPは自社だけで完結するものではありません。
仕入先、物流事業者、ITベンダー、業務委託先などが停止すると、自社の重要業務にも影響する可能性があります。
主要な取引先について、BCPの整備状況、拠点の所在地、代替手段の有無、供給停止時の影響などを確認しましょう。
単一の取引先や特定地域に依存している場合は、代替先の確保や在庫方針の見直しなども検討します。
取引先依存度の可視化とリスク分散
サプライチェーンの脆弱性を把握するには、調達比率、取引額、代替可能性、復旧にかかる時間などを整理し、取引先への依存度を可視化する方法が有効です。
依存度が高い場合は、複数の調達先を確保する、代替品を検討する、契約条件や在庫水準を見直すなど、自社の事業やコストに応じたリスク分散策を検討しましょう。
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定期的な訓練・見直しの重要性
BCPは、作成しただけでは緊急時に十分機能しない可能性があります。
安否確認訓練、対策本部の設置訓練、システム復旧訓練、代替拠点への切り替え訓練などを定期的に実施し、計画どおり行動できるかを確認することが重要です。
また、組織体制、業務内容、情報システム、主要な取引先などに変更があった場合も、BCPを見直しましょう。
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BCP策定のステップ:ゼロから始める実践プロセス
BCPは、段階的に検討することで、自社の実情に合った計画を策定しやすくなります。
重要なのは、文書を完成させること自体を目的にせず、緊急時に現場で運用できる内容にすることです。
ここでは、4つのステップに分けて解説します。
ステップ1:リスクの洗い出しと影響度分析
まず、自社の事業を中断させる可能性があるリスクを洗い出します。
自然災害、感染症、サイバー攻撃、システム障害、設備故障、停電、物流停止、地政学リスクなどを幅広く検討しましょう。
次に、各リスクが発生した場合に、どの業務が停止するか、顧客や取引先にどのような影響が生じるか、時間の経過とともに損失がどの程度拡大するかを分析します。
この事業影響度分析を通じて、優先して継続・復旧すべき重要業務を特定します。
関連記事:レピュテーションリスクは定量化できるのか?リスクの測定方法も解説
ステップ2:事業継続戦略の立案
重要業務と事業中断の影響を踏まえ、目標復旧時間(RTO)や目標復旧レベルを設定します。
そのうえで、目標を実現するための代替拠点、在宅勤務体制、バックアップ、代替要員、複数調達先などを検討します。
すべてのリスクに同じ対策を講じるのではなく、発生可能性、影響度、対策コストなどを踏まえて優先順位を決めることが大切です。
ステップ3:行動計画(マニュアル)の作成
事業継続戦略を、具体的な行動計画に落とし込みます。
主な記載項目は、次のとおりです。
- BCPの発動・解除条件
- 初動対応と従業員の安全確保
- 安否確認と情報収集の方法
- 対策本部の体制と指揮命令系統
- 重要業務の継続・復旧手順
- 顧客、取引先、行政機関などへの連絡方法
- 代替拠点、機器、資材の利用方法
担当者が不在の場合も想定し、役割ごとに代行者を定めておくと、属人化の防止につながります。
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ステップ4:教育・訓練・改善サイクルの構築
BCPの内容を従業員へ周知し、役割に応じた教育・訓練を行います。
訓練では、手順を確認するだけでなく、判断に迷った点、連絡が取れなかった相手、利用できなかった設備などを記録します。
訓練結果を踏まえて計画を修正し、再度検証するサイクルを構築することが、BCMの重要な要素です。
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近年のリスクを踏まえたBCP強化のポイント
企業を取り巻くリスクの変化に合わせて、BCPの対象や対策も見直す必要があります。
特に、業務のデジタル化、サイバー攻撃、サプライチェーンの複雑化、地政学リスクなどを踏まえた対応が重要性を増しています。
DXとBCP:クラウド活用・データ保全の高度化
DXの進展に伴い、デジタル依存度の高い企業では、データや情報システムを保護し、利用拠点が制限された場合にも業務を継続できる体制が重要になっています。
クラウドサービスやリモートアクセス環境を整備すれば、在宅勤務や代替拠点へ切り替えやすくなります。
一方、クラウドサービスの停止、認証基盤の障害、通信障害なども想定しなければなりません。
また、ランサムウェア被害では、通常のバックアップも暗号化・削除される可能性があります。
バックアップを複数の媒体や場所に保存する、ネットワークから切り離す、復旧訓練を行うなど、実際に復元できる体制を整えることが重要です。
関連記事:DX推進とは?注目される背景・メリット・成功のポイントをわかりやすく解説
サプライチェーンリスクの再評価
地政学的な変化、物流の混乱、自然災害、サイバー攻撃などにより、仕入先や委託先の停止が自社の事業へ波及する可能性があります。
企業は、重要な仕入先・委託先の所在地、供給能力、代替可能性、BCPの整備状況などを確認し、依存度を把握する必要があります。
必要に応じて、代替調達先の確保、在庫水準の見直し、契約条件の確認、サプライチェーンの多層構造の可視化などを進めましょう。
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中小企業でも取り組めるBCPのポイント
中小企業では、人員や予算の制約から、BCP策定に十分なリソースを割けない場合があります。
しかし、すべてを一度に整備する必要はありません。
まずは、重要業務の特定、緊急連絡先の整理、従業員の安否確認、重要データのバックアップ、主要な仕入先が停止した場合の対応など、影響の大きい項目から着手することが現実的です。
中小企業庁の「中小企業BCP策定運用指針」や、自治体、商工会・商工会議所などが提供する様式・支援策を活用すれば、策定の負担を軽減できます。
また、防災・減災の事前対策をまとめた「事業継続力強化計画」の認定制度を活用する方法もあります。
参考:中小企業庁「中小企業BCP策定運用指針」
コストを抑えたBCP導入の工夫
BCPの策定・運用では、既存の社内資産を活用することで、コストや作業負担を抑えられる場合があります。
たとえば、既存の業務マニュアルや緊急連絡網、情報セキュリティ規程などを活用し、不足している項目を追加・整理する方法があります。
また、無料・低価格のツールや公的機関が提供するテンプレートを活用することも選択肢の一つです。
ツールを導入する場合は、価格だけで判断せず、必要な機能やセキュリティ、サポート体制などが自社の運用に合っているかを確認しましょう。
関連記事:企業価値評価(バリュエーション)とは?代表的な手法・プロセス・注意点をわかりやすく解説
BCP策定を効率化する方法
BCPは重要性が高い一方、リスク分析や部門間の調整に時間がかかる場合があります。
「ゼロから作らないこと」と「自社だけで解決しようとしないこと」が効率化のポイントです。
公的機関の資料、既存の社内文書、外部専門家、各種ツールを適切に活用しましょう。
テンプレートの活用
中小企業庁、自治体、商工団体、業界団体などが提供するテンプレートを活用すれば、必要項目の抜け漏れを防ぎながら策定を進められます。
ただし、テンプレートを埋めること自体が目的にならないよう注意が必要です。
自社の業務内容に合わせて作成し、担当者が緊急時に行動できる計画にすることが重要です。
関連記事:中小企業がAI導入で得られる効果とは?メリット・課題・成功ステップを徹底解説
外部専門家・ツールの活用
自社だけでリスク分析や重要業務の特定を進めることが難しい場合は、BCPや情報セキュリティなどの専門家へ相談する方法があります。
第三者の視点を取り入れることで、自社では認識できていなかった依存関係や課題を発見しやすくなります。
また、安否確認システム、バックアップ管理サービス、災害情報ツールなどを利用すれば、緊急時の情報収集や対応を効率化できます。
BCPそのものとは異なりますが、サプライチェーン全体のリスクを管理するうえでは、取引先・委託先に関する第三者リスクの把握も重要です。
反社会的勢力との関係など、取引継続や企業の信用に影響し得る情報を確認することは、第三者リスク管理の一環として有効です。
ただし、反社チェックだけで取引先の事業継続力を判断することはできません。
財務状況、供給能力、拠点の集中度、代替可能性、法令違反や行政処分などの情報と組み合わせ、総合的に評価することが重要です。
また、取引先・委託先の調査に多くの時間を要している場合は、反社チェックサービス「RISK EYES」などの外部サービスを活用することで、調査業務の効率化を図れます。
サービスの対象情報や検索範囲を確認したうえで、自社の取引先管理フローに組み込むとよいでしょう。
関連記事:反社チェックを自動化する方法はある?ツールの機能や注意点を解説
まとめ
BCPは、緊急時に重要業務を継続・早期復旧し、企業や取引先への影響を抑えるための計画です。
重要業務とリスクを整理し、代替手段、連絡体制、復旧手順を具体化したうえで、教育・訓練と見直しを継続する必要があります。
サイバー攻撃やサプライチェーンの途絶なども想定し、自社の状況に合った実効性のあるBCPを整備することが、事業継続力と企業への信頼を高めることにつながります。
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