
IPOにかかる費用とは?段階別の費用とコストを抑えるポイントを解説
企業が株式上場(IPO)を実現するには、数多くの準備と対応が求められます。
その過程で発生するコストは決して小さくなく、計画的かつ戦略的に管理することが重要です。
この記事では、IPOの各段階で発生する代表的な費用項目を整理し、コスト削減のポイントについても解説します。
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目次[非表示]
- 1.IPOの準備段階で発生する主な費用
- 1.1.監査関連費用
- 1.2.主幹事証券会社への報酬
- 1.3.上場申請書類の印刷費用
- 1.4.IPOコンサルティング費用
- 1.5.弁護士費用
- 1.6.反社チェック費用
- 2.IPO実施時に発生する主な費用
- 2.1.上場審査料および新規上場料
- 2.2.株式の公募や売出しにかかる費用
- 2.3.証券会社の引受手数料
- 2.4.登録免許税
- 3.IPO完了後に発生する主な費用
- 3.1.年間上場料(上場維持費)
- 3.2.法定開示書類・適時開示書類の作成にかかる費用
- 3.3.新株の発行や上場などにかかる費用
- 3.4.監査費用
- 3.5.株式事務代行機関への委託費用
- 3.6.リーガルチェックにかかる弁護士費用
- 4.IPOの費用を抑えるポイント
- 4.1.早期準備によるコスト削減
- 4.2. 専門家との綿密な打ち合わせ
- 4.3.助成金制度の活用
- 5.IPO準備に欠かせない反社チェック
- 5.1.反社チェックを怠るリスク
- 5.2.反社チェックの方法
- 6.まとめ
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IPOの準備段階で発生する主な費用
企業が株式公開(IPO)を目指す際、準備段階で多くの費用が発生します。
これらは単なる手続き費用だけでなく、ガバナンス強化やリスク対応にも直結する重要な投資です。
以下では、IPOの準備段階で発生する主な費用について解説します。
監査関連費用
IPOでは、過去3年分の財務諸表に対する監査が求められます。
公認会計士による外部監査は、企業の信頼性を証明するための必須ステップです。
費用は企業規模によって異なりますが、数百万〜数千万円になることもあります。
主幹事証券会社への報酬
IPOの実行を支援する主幹事証券会社には、デューデリジェンス、スケジュール管理、審査対応など多岐にわたる業務が委託されます。
報酬には固定費と成功報酬が含まれ、一般的に数百万円〜数千万円規模となります。
関連記事:IPO準備企業の経理に求められる役割とは 具体的に行う業務についても解説
上場申請書類の印刷費用
IPOには目論見書や申請書類など多数の書類作成が伴い、印刷・製本にもコストがかかります。
デジタル化が進んでいるとはいえ、一部は紙媒体が求められ、数十万円程度の費用が想定されます。
IPOコンサルティング費用
上場準備には、社内体制の整備や規程の見直し、IR戦略の構築など多くのノウハウが必要です。
専門コンサルタントの支援を受けることで、作業効率化と審査対応力の向上が見込まれます。
費用はプロジェクト規模により異なり、100万円〜500万円程度が目安です。
関連記事:IPO準備中にも影響する内部統制報告書とは J-SOXへの対応について解説
弁護士費用
上場企業としての法的整備は不可欠であり、弁護士の関与によるリスクチェックや契約書の精査が求められます。
IPO関連では、ガバナンス強化、社内規定改定、関係者間契約の整理などが中心となり、数十万円〜数百万円程度の費用がかかります。
反社チェック費用
IPO審査で特に重視されるのが、企業・役員・株主に対する反社会的勢力との関係確認です。
外部機関による反社チェックは信頼性確保のために必須で、調査範囲に応じて費用は数十万円程度が目安です。
関連記事:IPO準備にはなぜ反社チェック(コンプライアンスチェック)が必要なのか? 上場基準の反社会的勢力排除の体制づくりについて解説
IPO実施時に発生する主な費用
IPO(新規株式公開)を実施する段階では、企業は複数の実務対応と並行して費用を支払う必要があります。
ここでは、IPOプロセスの中核である実施段階で発生する主なコスト項目を解説します。
上場審査料および新規上場料
IPOを行うには、証券取引所による審査を受けなければなりません。
この際に支払う「上場審査料」と「新規上場料」は、取引所ごとに定められており、企業規模や発行株式数に応じて異なります。
一般的には100万円〜300万円ほどが目安で、東証グロース市場では比較的低めに設定されている傾向があります。
株式の公募や売出しにかかる費用
IPOでは、外部投資家に対して株式を公開するための「公募」や「売出し」が行われます。
この過程では目論見書の印刷・送付費用、IR活動における広告宣伝費、説明会開催費用など、投資家向け情報開示のためのコストが発生します。
これらは全体で数百万円〜数千万円規模になることもあり、内容によって大きく変動します。
関連記事:上場には何年かかる? IPO準備企業が押さえておきたい上場への作業とスケジュール
証券会社の引受手数料
証券会社はIPOにおいて、公開株式の引受を行います。
その報酬として支払われるのが「引受手数料」で、通常は公募・売出し総額の数%(例:2〜3%)が設定されます。
この手数料はIPO全体の中でも特に金額が大きくなる傾向があり、企業にとっては重要な費用項目のひとつです。
登録免許税
IPOでは新規株式の発行に伴い、法的な手続きを行う必要があります。
この際に発生するのが「登録免許税」で、資本金の増加に応じて税額が決まります。
具体的には、資本金の増加分に対して0.7%の税率が適用されるケースが多く、規模が大きくなるほど負担も増加します。
関連記事:IPO準備企業が上場までのフェーズごとにやるべきこと
IPO完了後に発生する主な費用
IPO(新規株式公開)を達成した企業は、上場企業としての維持・運営コストを継続的に負担する必要があります。
これらの費用は単なる事務手続きにとどまらず、投資家との信頼関係を維持するための重要な要素です。
以下に、IPO完了後に発生する主要な費用項目を整理します。
年間上場料(上場維持費)
証券取引所への年間上場料は、上場を維持するための基本的な費用です。
取引所によって金額体系は異なりますが、企業規模や発行済株式数に応じて数十万円〜数百万円の負担が発生します。
定期的な支払いが必要なため、予算計画への組み込みが欠かせません。
法定開示書類・適時開示書類の作成にかかる費用
上場企業は、有価証券報告書や四半期報告書などの法定開示書類を作成・提出する義務があります。
さらに、企業活動に応じた適時開示も求められ、専門スタッフの人件費や外部専門家の支援費用が発生します。
作成の正確性が求められるため、質の高いコンテンツ制作体制が不可欠です。
関連記事:IPO準備の前段階? 自社の経営を上場基準に合わせる「ショートレビュー」とは
新株の発行や上場などにかかる費用
事業資金の調達やストックオプション制度の運用などを目的に、新株発行を行う場合は、登記費用や証券取引所への申請手続きにかかる費用が発生します。
また、証券会社とのやり取りや印刷費なども含まれ、規模に応じて数十万円〜数百万円となることがあります。
監査費用
上場後も毎年の財務諸表に対して外部監査を受ける義務があります。
監査法人との契約によって費用は異なりますが、数百万円単位の継続的コストとなるケースが一般的です。
特にグループ会社を含む場合は、連結監査対応が必要となり費用も増加します。
関連記事:IPO準備&急成長ベンチャー必見!取引先が増えきる前にやるべき「反社チェック」
株式事務代行機関への委託費用
株主名簿の管理や配当金の支払い業務などは、株式事務代行機関に委託するのが一般的です。
これらの業務は専門性が高く、企業が自社対応するのは困難なため、年間数十万円〜百万円程度の委託費用が必要となります。
リーガルチェックにかかる弁護士費用
上場企業は開示内容や契約書の法的妥当性について、継続的なリーガルチェックが求められます。
IR資料、株主総会関連書類、新株発行時の契約など、弁護士による確認作業は不可欠で、費用は内容によって数十万円〜数百万円に及ぶこともあります。
関連記事:IPO準備企業にはなぜ監査法人が必要?必要な理由と選び方について解説
IPOの費用を抑えるポイント
IPO(新規株式公開)は、企業の成長を加速させる大きな転機である一方で、準備から実施・完了後まで多額の費用が発生します。
その負担を最適化するためには、戦略的な対応が不可欠です。
ここでは、IPOにかかるコストを抑えるための3つの主要ポイントを紹介します。
早期準備によるコスト削減
IPOプロセスでは、準備不足によるやり直し作業や外部専門家への緊急依頼が、費用増加の原因となります。
早期に社内体制を整備し、必要書類の準備やガバナンス強化に着手することで、突発的なコスト発生を防げます。
たとえば、財務情報の整備や監査対応に十分な時間を確保すれば、過剰な監査工数を回避できる可能性があります。
関連記事:IPO準備企業が整備すべき人事・労務とは 懸念点についても解説
専門家との綿密な打ち合わせ
IPOでは、監査法人・証券会社・コンサルタント・弁護士など、複数の専門家が関与します。
それぞれの役割や報酬体系を事前に明確化し、費用の妥当性を確認することで、予算超過リスクを抑えられます。
また、契約前に複数社の見積もりを比較することで、コストパフォーマンスの高いパートナー選定が可能になります。
助成金制度の活用
近年では、IPO支援を目的とした自治体や公的機関の助成金制度が拡充しています。
地域限定・業種別の支援策もあるため、事前に情報収集し、該当する制度を活用することが重要です。
たとえば、東京都ではIPO準備企業向けの支援メニューが設けられていることもあり、書類作成や専門家報酬の一部補助が受けられるケースもあります。
関連記事:スタートアップに求められるIPO準備で早く取り組むべき組織体制の整備とは
IPO準備に欠かせない反社チェック
IPO(新規株式公開)を目指す企業にとって、反社会的勢力との関係性がないことを証明するために行う「反社チェック」は、審査通過の必須条件です。
どれだけビジネスの成長性や財務の健全性があっても、反社チェックを怠れば上場は実現しません。
ここでは、反社チェックのリスクと具体的な方法について解説します。
反社チェックを怠るリスク
反社会的勢力との関係が疑われる企業は、証券取引所の上場審査において即座に却下される可能性があります。
株主、役員、主要取引先など、関係者のいずれかに問題がある場合でも信用は失墜し、企業ブランドが傷つくことになります。
また、仮に上場後に関係が発覚した場合、株価の急落やメディア報道による評判リスク、最悪の場合には上場廃止も現実的なリスクとして考えられるでしょう。
そのため、IPO準備段階での厳格な反社チェックは、企業にとって「攻め」ではなく「守り」の施策として不可欠です。
関連記事:上場企業・IPO準備企業の陰に潜む反市場勢力とは?基本と用語について解説
反社チェックの方法
反社チェックは、単なる内部確認では不十分です。
外部専門機関を活用した以下のような対応が推奨されます。
- 反社データベースとの照合:警察・自治体・業界団体が提供する各種データベースを活用し、役員や株主の情報を照合します。
- 取引先や関連会社の調査:企業グループ全体に対して調査を行い、潜在的なリスク要因を抽出します。
- ヒアリングや実地調査:過去の交友関係や反社との接点について、関係者への聞き取り調査を行うケースもあります。
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調査報告書の提出:証券会社や証券取引所に対して、第三者機関が作成した報告書をもとに信頼性を証明する必要があります。
最近では、上記の方法以外に反社チェックツールを導入する企業が増加しています。
関連記事:反社チェックを自動化する方法はある?ツールの機能や注意点を解説
反社チェックツールは、名前や企業名を検索すると、反社チェックに必要なネガティブな情報だけを検索結果として表示することができます。
すべての調査を手作業で行うにはかなりの手間と時間がかかるうえ、ミスによる精度の低下も発生してしまいます。
反社チェックツールを導入することで、業務量を大幅に削減し、精度の高いチェックを行うことができます。
また、専門の調査会社などに依頼するよりも安価に抑えられることも導入が増加している理由の1つです。
まとめ
IPOにかかる費用は多岐にわたりますが、各段階で何が求められるのかを明確にしておくことで、適切な資金計画が立てられます。
準備の早期着手、専門家との連携、助成制度の活用などを通じて、費用を最適化しつつスムーズな上場を目指しましょう。
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