
株式譲渡の手続きとは?初心者でも理解できる全ステップと実務ポイント
株式譲渡は、会社の所有権を移すことで経営権を引き継ぐ代表的なM&A手法です。
中小企業でも活用される場面が多く、手続きの流れを理解しておくことで、スムーズな取引とリスク回避につながります。
この記事では、初めて検討する方でも全体像を理解できるように、株式譲渡の全ステップと実務上の注意点を解説します。
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目次[非表示]
- 1.株式譲渡とは?まず理解したい基本知識
- 1.1.株式譲渡の仕組みを簡単に解説
- 1.2.事業譲渡・合併との違い
- 1.3.中小企業のM&Aで株式譲渡が主流になる理由
- 2.株式譲渡手続きの全体フロー
- 2.1.株式譲渡の流れを図解で整理
- 2.2.手続き完了までの期間目安
- 2.3.売り手・買い手・専門家それぞれの役割
- 3.株式譲渡の具体的な手続き
- 3.1.事前準備で確認すべき事項
- 3.2.秘密保持契約(NDA)と基本合意(LOI)
- 3.3.デューデリジェンス(DD)の進め方
- 3.4.株式譲渡契約(SPA)の締結
- 3.5.クロージングと株主名簿の書換
- 4.譲渡制限会社で必要になる承認手続き
- 4.1.譲渡承認請求の流れ
- 4.2.取締役会・株主総会決議が必要なケース
- 4.3.非承認時の対応
- 5.株式譲渡で必要になる主な書類
- 5.1.株式譲渡契約書(SPA)
- 5.2.株主総会議事録・取締役会議事録
- 5.3.株主名簿
- 5.4.その他の必要書類一覧
- 6.株式譲渡でよくあるリスクと失敗例
- 6.1.表明保証違反によるトラブル
- 6.2.簿外債務・偶発債務の発覚
- 6.3.従業員・取引先対応の遅れ
- 6.4.情報管理不足による情報漏洩
- 7.株式譲渡をスムーズに進めるためのポイント
- 7.1.資料整理を早めに進める
- 7.2.専門家と連携するメリット
- 7.3.中小企業がつまずきやすいポイント
- 8.専門家へ相談すべきタイミング
- 8.1.自社対応が難しくなるケース
- 8.2.相談前に準備しておく資料
- 8.3.専門家選びで確認したいポイント
- 9.まとめ
株式譲渡とは?まず理解したい基本知識
株式譲渡とは、会社の経営権を持つ株式を他者へ移すことで、経営権を引き継ぐ仕組みです。
会社そのものは存続し、従業員との雇用関係や取引先との契約も原則として継続されるため、事業の連続性を保ちながらオーナーを交代できることから中小企業の事業承継やM&Aで広く利用されています。
株式譲渡の仕組みを簡単に解説
株式譲渡では、売り手が保有する株式を買い手へ売却することで、会社の支配権が移転します。
法人格はそのまま維持されるため、許認可や契約を引き継げる場合が多く、事業の継続性を保ちやすい点が特徴です。
ただし、契約内容や許認可の種類によっては、事前確認や承諾が必要になる場合もあります。
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事業譲渡・合併との違い
事業譲渡は、売却する事業ごとに契約や資産を個別に移転する手法です。
そのため、契約の引継ぎや許認可の手続きが必要になる場合があります。
一方、合併は会社そのものを統合するため、法的手続きが複雑で時間もかかります。
これに対して株式譲渡は、株式の移転によって会社の支配権を引き継ぐため、会社そのものを維持したまま経営権を移転できます。
そのため、中小企業のM&Aでは比較的活用されることが多い手法です。
中小企業のM&Aで株式譲渡が主流になる理由
中小企業のM&Aで株式譲渡が選ばれやすい理由は、会社の信用やブランド、従業員との関係性を維持しやすく、事業の継続性を保ちやすい点にあります。
会社そのものが存続するため、売り手・買い手双方にとって手続きを進めやすい手法といえます。
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株式譲渡手続きの全体フロー
株式譲渡は、買い手・売り手双方が安心して取引を進められるように、一定のプロセスを踏む必要があります。
全体像を把握しておくことで、どの段階で何を準備すべきかが明確になり、手戻りを防ぎやすくなります。
株式譲渡の流れを図解で整理
株式譲渡の一般的な流れは、①事前準備、②秘密保持契約、③条件交渉、④基本合意、⑤デューデリジェンス、⑥株式譲渡契約、⑦クロージング、⑧名義書換という順序で進みます。
各ステップは密接に連動しているため、ひとつの遅れが全体のスケジュールに影響します。
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手続き完了までの期間目安
株式譲渡の期間は会社の規模や業種によって異なりますが、一般的には3〜6ヶ月が目安です。
必要な資料が整っている企業であれば短期間で進むこともあります。
一方で、契約関係が複雑な場合や、財務状況の確認に時間を要する場合には、完了までに半年以上かかることもあります。
スムーズに進めるためには、初期段階での準備が重要です。
売り手・買い手・専門家それぞれの役割
株式譲渡では、売り手・買い手・専門家の役割を整理しておくことが重要です。
売り手は会社情報の提供や条件提示、買い手は企業価値の評価やリスク確認、専門家は契約や調査の支援を担います。
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株式譲渡の具体的な手続き
株式譲渡をスムーズに進めるには、各ステップで必要な書類や確認事項を整理しておくことが重要です。
ここでは、株式譲渡の具体的な手続きについて解説します。
事前準備で確認すべき事項
株式譲渡の最初の工程は、会社の現状を整理することです。
株主構成や定款の内容、株券の有無といった基本情報に加え、過去の契約書や許認可の状況、財務資料などを確認します。
現状整理のための準備が不十分だと、後の工程で手戻りが発生する可能性があります。
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秘密保持契約(NDA)と基本合意(LOI)
買い手候補と情報を共有する前に締結するのが秘密保持契約(NDA)です。
会社の財務情報や顧客データなど、外部漏洩厳禁の情報を守るための重要な契約です。
その後、買い手との条件交渉が進むと、基本合意書(LOI)を取り交わします。
LOIには、想定される譲渡価格やスケジュール、独占交渉期間などが記載されます。
デューデリジェンス(DD)の進め方
デューデリジェンスは、買い手が会社の実態を確認するための調査です。
財務・法務・税務・ビジネスなど多方面から会社の状況を分析し、リスクや改善点を洗い出します。
調査の結果、簿外債務や契約上の問題が見つかると、取引条件の見直しにつながる場合もあります。
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株式譲渡契約(SPA)の締結
デューデリジェンスを経て、売り手・買い手の双方が条件に合意すると、株式譲渡契約(SPA)の作成に進みます。
SPAには、譲渡価格や株式数、クロージング条件、表明保証、補償条項など、取引の根幹となる内容が盛り込まれます。
特に表明保証は、後のトラブルを防ぐために慎重な確認が必要です。
クロージングと株主名簿の書換
契約締結後、実際に株式と代金を受け渡す工程がクロージングです。
株券が発行されている場合は現物の受け渡しが行われ、発行していない場合は譲渡承認書などの書類で対応します。
代金の支払いなどが完了した後、株主名簿の書換えを行い、新しい株主が正式に登録されます。
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譲渡制限会社で必要になる承認手続き
譲渡制限会社では、株式を自由に売買できません。
株式を譲渡する際には会社の承認が必要となります。
中小企業の多くは譲渡制限会社を採用しているため、株式譲渡を検討する際は、まず定款で承認方法を確認することが重要です。
譲渡承認請求の流れ
株主が株式を譲渡したい場合は、まず会社に「譲渡承認請求書」を提出します。
請求を受けた会社は、一定期間内に承認するかどうかを決定し、その結果を株主へ通知します。
なお、期限内に会社が承認・不承認の通知を行わなかった場合は、会社法上、承認したものとみなされることがあります。
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取締役会・株主総会決議が必要なケース
承認の判断をどの機関が行うかは、定款で決まっています。
取締役会設置会社では取締役会が決議し、設置していない会社では株主総会で決めます。
特に家族経営や少人数の会社では、株主構成の変化が経営に直結するため、譲渡の承認について慎重に判断される傾向があります。
非承認時の対応
会社が譲渡を認めない場合でも、株主が売却できなくなるわけではありません。
原則として、会社は代わりに株式を買い取る人を指定する必要があり、指定がなければ会社自身が買い取ることになります。
実際の対応は定款や個別事情によって異なるため、専門家に確認しながら進めることが重要です。
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株式譲渡で必要になる主な書類
株式譲渡では、契約内容の確認や名義変更など、複数の書類を正確に準備する必要があります。
ここでは、株式譲渡の際に必要となる主な書類について紹介します。
株式譲渡契約書(SPA)
株式譲渡契約書(SPA)は、株式の売買条件を正式に定める中心的な書類です。
譲渡価格、株式数、支払い方法、クロージング条件など、取引の根幹となる内容が記載されます。
特に「表明保証」と「補償条項」は、責任範囲を明確にするうえで重要な書類です。
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株主総会議事録・取締役会議事録
譲渡制限会社では、株式の譲渡に会社の承認が必要です。
そのため、取締役会や株主総会で承認を行った場合は、その決議内容を議事録として残します。
また、株式譲渡後に役員変更がある場合も、変更決議の議事録が必要になります。
株主名簿
株主名簿は、会社が株主の情報を管理するための法定帳簿です。
株式譲渡完了時に買い手の氏名・住所・取得株式数を記載し、新しい株主として登録します。
株券を発行していない会社でも、株主名簿の更新は必須です。
その他の必要書類一覧
株式譲渡の状況によって、追加で準備すべき書類があります。
- 株式譲渡承認請求書:譲渡制限会社で承認を求める際に提出
- 株券(発行会社のみ):現物の受け渡しが必要
- 譲渡契約書の写し:金融機関や専門家への提出用
- 印鑑証明書:契約書に実印押印が必要な場合
- 役員変更登記書類:経営陣が変わる場合に法務局へ提出
これらの書類は、会社の規模や取引内容によって必要性が変わるため、事前に確認しておくと安心です。
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株式譲渡でよくあるリスクと失敗例
株式譲渡は比較的進めやすい手法ですが、必要な確認を怠ると予期せぬトラブルにつながることがあります。
スムーズに手続きを進めるためにも、事前にリスクを把握しておくことが重要です。
ここでは、実務で起こりやすい代表的なリスクを整理します。
表明保証違反によるトラブル
株式譲渡契約(SPA)には、売り手が会社の情報に誤りがないことを保証する「表明保証」が含まれます。
しかし、未公開の負債や契約上の問題が譲渡後に判明した場合、買い手から損害賠償を求められる可能性があります。
こうしたトラブルを防ぐためにも、売り手は事実関係を正確に整理したうえで契約書に反映させることが重要です。
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簿外債務・偶発債務の発覚
デューデリジェンスで問題になりやすいのが、帳簿に載っていない負債や、将来発生する可能性のある債務です。
未払残業代、税務調査で指摘される可能性のある項目、訴訟リスクなどが典型例です。
これらが取引後に発覚すると、買い手の経営計画に影響を与える可能性があります。
従業員・取引先対応の遅れ
株式譲渡では会社の株主構成や実質的な経営権が変わるため、従業員や主要取引先にとって大きな変化になります。
情報開示のタイミングを誤ると、不安が広がり、離職や契約見直しにつながることがあります。
円滑に事業を引き継ぐためには、関係者への説明計画を事前に準備しておくことが重要です。
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情報管理不足による情報漏洩
M&Aに関する情報は非常に機密性が高く、外部へ漏洩すると取引先の不安や従業員の動揺を招きます。
秘密保持契約(NDA)を締結していても、資料の共有範囲や管理方法が不十分であれば、情報漏洩リスクは高まります。
情報管理ルールを明確にし、関係者全員で徹底することが重要です。
関連記事:情報漏洩を防ぐコンプライアンス対策 関連法律と罰則についても解説
株式譲渡をスムーズに進めるためのポイント
株式譲渡は、準備不足や判断の遅れによって全体の進行が滞ることがあります。
ここでは、効率よく進めるために押さえておきたい実務ポイントを整理します。
資料整理を早めに進める
株式譲渡の初期段階で重要なのが、会社の資料を整えておくことです。
決算書、契約書、許認可、株主名簿など、デューデリジェンスで確認される資料は早めに揃えておくと、後の負担を減らせます。
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専門家と連携するメリット
株式譲渡には、法務・税務・財務など幅広い知識が必要です。
専門家と連携することで、契約書のチェックやリスクの洗い出しを効率よく進められます。
また、交渉の場面でも第三者が入ることで、条件を冷静に調整しやすくなります。
中小企業がつまずきやすいポイント
中小企業の株式譲渡では、情報開示の遅れ、リスク把握不足、オーナー個人と会社資産の混在が課題になりやすいです。
事前に資料や権利関係を整理しておくことで、交渉の長期化を防ぎやすくなります。
関連記事:中小企業が法務トラブルを防ぐには?法務部門の重要性と導入のポイントを解説
専門家へ相談すべきタイミング
株式譲渡は、法務・税務・財務など多方面の知識が必要になるため、自社だけで進めると判断ミスが発生しやすくなります。
適切なタイミングで専門家に相談することで、リスクを抑えながら取引を進めることができます。
自社対応が難しくなるケース
代表的なのは、デューデリジェンスで複雑な指摘が出た場合や、契約書の内容が理解しきれないなどのケースです。
また、買い手との条件調整が難航する場合もあります。
株主構成が複雑な場合や、オーナー個人と会社の資産が混在している場合も、早めに専門家へ相談することが重要です。
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相談前に準備しておく資料
専門家に相談する際は、直近3期分の決算書、株主名簿、主要契約書、許認可の状況、従業員リストなどを整理しておくと、会社の現状を伝えやすくなります。
専門家選びで確認したいポイント
専門家を選ぶ際は、M&Aの実績や得意分野を確認することが重要です。
特に中小企業の株式譲渡では、企業ごとに抱える課題や状況が異なるため、豊富な経験を持つ専門家ほど適切なアドバイスや円滑な対応が期待できます。
また、手数料体系やサポート範囲に加え、担当者とのコミュニケーションの取りやすさも事前に確認しておくと安心です。
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まとめ
株式譲渡は、中小企業のM&Aや事業承継で広く活用されている手法です。
一方で、適切な準備やリスク管理を行わなければ、思わぬトラブルにつながる可能性もあります。
スムーズに株式譲渡を進めるためには、手続きの流れや必要書類を理解し、早い段階から準備を進めることが大切です。
不安な点がある場合は専門家へ相談し、万全の体制で手続きを進めましょう。
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